建設業専門の社会保険労務士|松原市・堺市・東大阪ほか南大阪 平日 10:00〜17:00/TEL 072-334-4102

冬の休業中も社会保険料は夏の給料のまま?休業手当と保険料・等級が変わる時期

テーマ: 建設業の就業規則作成
30秒で結論

冬に職人を休業させて休業手当を払う間も、健康保険・厚生年金の資格は続き、保険料は休業前に決まった標準報酬月額(等級)のままかかります。休業手当も保険料の計算のもとになる報酬で、等級が下がるのは低額の休業手当の支払いが月単位で3か月を超えて続き、2等級以上の差が出た場合だけです(一時帰休の随時改定)。職人にとっては、冬も健康保険の資格が切れず、厚生年金の記録も途切れません。

→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます

従業員7人の土木会社。1月25日の給料日、社長が事務所で職長に明細を手渡します。現場は12月20日から春まで閉まっていて、1月の支給欄は休業手当だけ。金額は夏の給料の4割ほどなのに、控除欄の健康保険と厚生年金には、夏とまったく同じ数字が並んでいます。「社長、保険料だけ夏のままなんですね」。職長の一言に、社長も答えに詰まります。休ませているのに、なぜ保険料は下がらないのか。いつになったら下がるのか。会社の負担分はどこまで続くのか——雪国の建設会社で、毎年くり返されるよくある場面です。先に答えを言うと、休業の月も保険料はすぐには下がりません。休業手当も保険料の計算のもとになる「報酬」で、等級は低い休業手当が3か月を超えて続いて初めて動くからです(※2026年10月時点)。この記事では、冬も職人を雇い続けて休業させる会社に向けて、休業手当にかかる保険料の仕組み、等級が変わる条件と時期、令和8年度の料率での手取りの計算例、通年雇用助成金の休業助成との関係、冬の前に就業規則・賃金規程へ書いておくことを順に整理します。冬に職人をいったん離職させる場合の手続き(雇用保険の喪失・離職票・特例一時金)は、季節雇用の職人の特例一時金と離職の手続きに分けてまとめています。

雪で重機が止まった冬の事務所で、電卓と給与明細の束を前に休業中の保険料を考える建設会社の社長

冬に休業させている間も、社会保険料は夏の給料のまま払うのですか?

はい。雇用を続けて休業させている間、職人は健康保険・厚生年金の被保険者のままで、保険料は休業の前に決まっていた標準報酬月額(等級)で計算され続けます。休業手当だけの月でも、等級が改定されるまでは、夏と同じ額を会社も本人も負担します(※2026年10月時点)。

理由は、保険料の決まり方にあります。健康保険・厚生年金の保険料は、毎月の給料そのものではなく「標準報酬月額」(保険料を計算するために、月の給料を区切りのよい金額に当てはめたもの)に料率を掛けて決まります。この等級は、毎年7月に4〜6月の給料をもとに決め直す(定時決定)のが基本で、雪の無い時期の給料で決まった等級が、冬の休業の月にもそのまま使われます。

休業手当は、この等級の計算に入る「報酬」です。日本年金機構の事例集(標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集)は、報酬に含まれるものの例に休業手当を挙げています。ただ、報酬に入るからといって、払った月にすぐ等級が下がるわけではありません。年の途中で等級を変える手続き(随時改定)には条件があり、低い休業手当の支払いが3か月を超えて続いて初めて動きます。条件と時期は、このあとの節で順に見ます。

「休ませている間だけ社会保険から外せないか」と考える社長もいますが、できません。被保険者の資格を失うのは「その事業所に使用されなくなったとき」の翌日で(健康保険法36条)、雇用を続けて休ませている間はこれに当たりません。保険料は被保険者である各月について徴収されるので(厚生年金保険法81条)、休業手当を払わなかった月でも、保険料だけは等級どおりにかかります。そもそも、会社側の事情で休ませた日を無給にすることは、労働基準法26条の休業手当の問題になります。

  • 制度としては:雇用が続く限り資格も続き、等級が動くまで保険料は休業前の額のまま。
  • この会社はどう有利になるか:冬の資金計画に「休業手当+保険料の会社負担」を最初から入れられ、春に保険料の納付書を見て慌てることがなくなります。
  • 社長の毎日はどう変わるか:1月の明細を渡すとき、「保険料は等級で決まっていて、3か月を超えないと動かない」と一言で説明できます。

冬に現場が閉まる日の休業手当は、いくら払うのですか?(基本のおさらい)

会社側の事情による休業なら、平均賃金の60%以上の休業手当が要ります(労働基準法26条・※2026年10月時点)。平均賃金は日給そのものではなく、直前3か月の賃金を休日も含めた暦日数で割った1日あたりの額で、日給の職人には「3か月の賃金総額÷働いた日数×60%」の最低保障があります。原因が大雪でも、不可抗力(原因が事業の外にあり、通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられないこと)に当たる休業なら支払義務はありませんが、毎年予定されている現場の閉鎖と、急な大雪で道路が使えなくなった日は、同じ説明にはなりません。

ここまでの線引きと休業日ごとの記録の残し方は、親記事の建設業の冬、給料と除雪の残業はどうする?に、平均賃金の計算手順と円での早見表は雨で現場が休みになったら給料は?にまとめています。冬の一部を最初から所定休日にして年間カレンダーに組む設計は、休業とは別の仕組みです。「冬を休日にするか休業にするか」の比べ方は、雪の多い地域の1年単位の変形労働時間制で整理しています。

この記事はここから先、会社都合の休業として休業手当を払う場合に絞って、保険料の話を進めます。

休業手当から、保険料はいくら引かれますか?(令和8年度・北海道の計算例)

標準報酬月額28万円・40歳未満の職人なら、休業手当だけの月でも本人負担の社会保険料は月40,334円で、休業手当約115,000円の約3分の1が保険料で消えます(協会けんぽ北海道支部・令和8年度の料率での計算例。※2026年10月時点)。

まず料率です。協会けんぽ北海道支部の令和8年度の料率と、令和8年度の雇用保険料率は次のとおりです。

保険令和8年度の料率負担
健康保険(協会けんぽ北海道支部)10.28%(40〜64歳の介護保険第2号被保険者は11.90%)会社と本人で半分ずつ
子ども・子育て支援金0.23%(令和8年4月分から)会社と本人で半分ずつ
厚生年金保険18.300%会社と本人で半分ずつ
雇用保険(建設の事業)本人6/1,000・会社10.5/1,000(合計16.5/1,000)休業手当を含む賃金の額に掛ける

健康保険の率は都道府県ごとに違うので、北海道以外の会社は自社の支部の率に置き換えてください。雇用保険料と労災保険料の計算のもとになる賃金にも、休業手当は入ります(労働保険の年度更新の手引き)。

計算例:月給28万円(標準報酬月額28万円)・40歳未満・月末締めの職人を、所定労働日21日すべて休業にし、休業手当を平均賃金の60%で払う月です。

項目計算金額
平均賃金直前3か月の賃金84万円÷暦日数92日約9,130円
休業手当(1日)9,130円×60%約5,478円
休業手当(21日分)5,478円×21日約115,000円
健康保険料(本人)28万円×10.28%÷214,392円
子ども・子育て支援金(本人)28万円×0.23%÷2322円
厚生年金保険料(本人)28万円×18.300%÷225,620円
社会保険料の本人負担 合計40,334円
雇用保険料(本人)115,000円×6/1,000約690円
税金を引く前の手取り115,000円−40,334円−690円約74,000円

夏の給料28万円に対して、冬の手取りは4分の1ほどです。40〜64歳の職人は健康保険の率が11.90%になるため、本人負担の社会保険料は合計で約42,600円、税金を引く前の手取りは約71,700円になります。所得税・住民税の天引きは別で、税の扱いは税理士の範囲です。

会社側は、休業手当約115,000円に加えて、社会保険料の会社負担(本人と同額程度の約4万円)と雇用保険料(115,000円×10.5/1,000=約1,200円)を負担します。労災保険料は別として、職人1人につき月15万6千円ほどが冬の間の支出です。

この計算例は目安です。平均賃金は締め日からさかのぼる3か月の賃金で決まり、日給の職人は最低保障の計算で額が変わります。休業手当を60%より多く払う会社は、そのぶん本人の手取りも会社の支出も変わります。

職人の「冬は手取りがほとんど無い」という不満の正体は、この表のとおりです。休業手当が夏の給料の4割ほどに減るのに、保険料は夏の等級のまま、という二段構えで手取りが削られます。ただ、保険料が夏のままということは、厚生年金の記録もその等級のまま積まれ、健康保険の資格も冬の間ずっと続くということです。手取りと保障の両方を明細で説明する言い方は、職人に「社会保険に入りたくない」と言われたらにまとめています。

  • 社長の毎日はどう変わるか:冬の資金計画が「休業手当だけ」ではなく「休業手当+保険料で1人月15万6千円」の単位で立てられ、職人に聞かれたときも明細の控除欄を指して説明できます。

休業中の標準報酬月額(等級)は、いつ・どんな条件で下がりますか?

低額の休業手当の支払いが月単位で3か月を超えて続き、その3か月の報酬の平均が今の等級から2等級以上下がる場合に、4か月目の分から下がります。1〜2か月の休業では動きません(一時帰休による随時改定・※2026年10月時点)。

一時帰休とは、会社の都合で一時的に休ませ、満額より低い休業手当を払う状態のことです。休ませていても満額の給与を補償している場合は一時帰休に当たらず(日本年金機構の疑義照会回答)、等級の話にはなりません。一時帰休に伴う随時改定の決まりは、日本年金機構の事例集に次のように書かれています。

条件事例集の決まり冬の休業での読み方
起点1か月のうち一時帰休で固定的賃金が減額される日が1日でもあれば、随時改定の対象休業手当の日が1日でもある月から「下がった月」として数え始める
期間低額な休業手当等の支払いが継続して3か月を超える場合に行う。3か月は暦日ではなく月単位で数える4か月目の1日の時点でまだ休業中かどうかで決まる
差3か月の報酬を平均して2等級以上の差上の計算例(28万円→休業手当約11万5千円)なら、差の条件は満たす
解消4か月目の1日時点で一時帰休が解消していれば、3か月を超えないので随時改定は行わないその日までに現場を再開していれば、等級は冬じゅう動かない
日数・割合休業の日数が変わっただけでは対象にならない。休業手当の支給割合が変わった場合は対象休業日を減らしても起点は動かない。60%から割合を上げると新しい起点になる
支払基礎日数休業手当が支払われた日も支払基礎日数に含める休業手当の日も、出勤日と同じように日数に数える

事例集の例は「月末締め月末払いの事業所で2月10日から一時帰休を始めた場合、5月1日をもって3か月を超え、2・3・4月の報酬を平均して2等級以上の差があれば5月以降の標準報酬月額から随時改定する。5月1日時点で解消していれば行わない」というものです。これを冬に当てはめると、月末締め月末払いの会社が12月20日から休業した場合、3月1日時点でも休業中なら12・1・2月の報酬で3月分から改定の対象になり、3月1日までに再開していれば改定はありません。締め日と支払日の形によって数える月はずれるので、自社の支払日で暦を引き直し、届け出る前に年金事務所へ確かめてください。

冬の形(月末締め月末払いの例)等級の動き
12月20日に休業を始め、2月中に現場を再開3月1日時点で解消しているので改定なし。冬じゅう夏の等級のまま
12月20日に休業を始め、3月中旬まで休業3月1日時点で休業中。12・1・2月の平均で2等級以上下がれば、3月分から低い等級(会社が月額変更届を出す)
休業中も満額の給与を払う一時帰休に当たらず、等級はそのまま

改定された場合、春に現場へ戻ったあとも自動では戻りません。固定的賃金が減額されない状態が3か月を超えて2等級以上の差が出れば「解消による随時改定」で戻し、7月の定時決定では、7月1日時点で一時帰休が解消していれば休業手当の月を除いて、解消していなければ含めて等級を決めます。解消したかどうかは、算定基礎届の備考欄への記載、休業計画の提出の有無、労使の合意などで確かめられます。3月中旬に再開した例なら、4・5・6月の給料が通常に戻ることで、解消の随時改定か7月の定時決定で秋までには元の水準へ戻る流れです(当てはめの例です。自社の暦は年金事務所で確かめてください)。

等級が下がる冬は、本人の保険料も会社の負担も減りますが、その月の厚生年金の記録も低い等級で積まれます。どちらが得と決める話ではなく、「うちの冬は3か月の線を超えるか」を12月のうちに暦で確かめておくことが、届出の漏れと職人への説明違いを防ぎます。月額変更届の一般の条件(固定的賃金の変動・2等級・支払基礎日数)と届け出の流れは、日給を上げたら社会保険の届出は要る?職人の標準報酬月額と月額変更届・17日ルールで整理しています。

  • 社長の毎日はどう変わるか:12月に休業の期間を決めた時点で、「3月から保険料が変わる/変わらない」を職人に先に言えます。4月に年金事務所から問い合わせが来て、去年の出勤簿を掘り返すことがなくなります。

「1日」「3か月」「4か月」「60日」——冬の休業の長さで、何が変わりますか?

冬の休業をめぐる数字の線を1つの表にまとめます。どれも「休業の長さ」で扱いが変わる線ですが、見ている制度が違います(※2026年10月時点)。

線どの制度の線か冬の休業で何が変わるか
1日一時帰休の随時改定の起点その月に休業手当の日が1日でもあれば、固定的賃金が下がった月として数え始める
3か月(を超える)一時帰休の随時改定の実施条件低額の休業手当が月単位で3か月を超えて続き、4か月目の1日にまだ休業中なら、2等級以上の差を条件に4か月目分から等級が下がる
2等級随時改定の差の条件3か月の報酬の平均が、今の等級から2等級以上離れていること
60日通年雇用助成金の休業助成の上限申請対象労働者1人につき1月1日から起算して60日以内の休業が助成の対象。超えた日の休業手当の義務が消えるわけではない
4か月(を超える雇用)季節の職人の社会保険の加入の線当初から4か月を超えて雇う予定なら最初から被保険者。4か月以内の季節雇用だけが適用除外
12月16日〜1月31日通年雇用届の提出期間休業の助成を受けるなら、この期間に管轄の労働局へ届を出す
12月16日〜4月30日休業助成の対象期間この間に対象の職人が離職すると、理由を問わず休業助成の対象外

4か月の線は、冬に人を入れる会社ほど注意が要ります。健康保険・厚生年金では季節的業務に使われる人は適用除外ですが、「継続して4か月を超えて使用されるべき場合」は除外されません(健康保険法3条1項・厚生年金保険法12条)。4月から11月まで雇う季節の職人は、最初から加入です。日本年金機構の疑義照会回答は、当初から4か月を超える予定なら当初から被保険者になり、4か月以下の予定がたまたま延びた場合は季節的業務に使われている限り除外されるとしつつ、11月中旬から翌年3月10日までの契約を延長して使う例を「客観的には適用逃れとも推測できる」として、過去の雇用や事業の実態を確かめて保険者が判断すると答えています。除雪の要員を冬だけ入れる会社が、契約書を4か月以内に区切れば外れる、と考えるのは危険です。

反対に、夏の間だけ雇ってきた季節の職人を冬も雇い続けるなら、加入の線で悩むことはありません。そのまま被保険者として冬を越し、休業手当と保険料の扱いはこの記事のとおりです。冬にいったん離職してもらう形を選ぶ場合に会社がする手続きと、離職の日で変わる保険料の月は、季節雇用の職人の特例一時金と離職の手続きに分けています。

通年雇用助成金の「休業」の助成とは、どう関係しますか?

通年雇用助成金の休業助成は、労働基準法26条に沿った休業手当を払っていることが条件なので、休業手当の決まりを就業規則で整えることが、そのまま助成の土台になります。ただし、助成額の計算のもとは払った休業手当と賃金の合計で、会社が納める社会保険料はこの計算に入りません(※令和8年度支給要領・2026年10月時点)。

通年雇用助成金は、北海道・東北を中心に新潟・北陸・長野・岐阜の一部を含む指定地域で、指定業種(建設業を含む)の会社が季節労働者を冬も雇い続ける場合の助成金です。対象になる職人は、その年度の9月16日以前から雇っていて、この措置がなければ冬に離職して特例一時金を受けると見込まれる季節労働者で、すでに一年中雇っている職人をそのまま対象にできる制度ではありません。休業の助成について、支給要領と事業主向けの案内で確かめた条件を並べます。

  • 休業手当の支払いが労働基準法26条に違反していないこと
  • 所定労働日の全一日(丸1日)の休業であること。1日に満たない部分休業は対象外
  • 休業の延日数は、申請対象労働者1人につき1月1日から起算して60日以内。支給対象となる休業は令和10年4月30日まで
  • 支給額は、対象の休業手当と対象期間の賃金(休業手当を除く)の合計の2分の1(2回目は3分の1)。上限は54万円、新規継続労働者は71万円。休業助成は同じ職人について2回まで
  • 対象の職人が12月16日〜4月30日の間に離職すると、理由を問わず休業助成の対象外
  • 1年度の支給申請は1事業所1回。1人でも休業助成を使うと、その事業所の申請時期は休業助成の時期(休業手当の額が確定した日から6月15日まで)になる
  • 通年雇用届は12月16日〜1月31日に管轄の労働局へ。就業規則・労働者名簿・出勤簿・賃金台帳などを整備・保管し、求めがあれば出せること
  • 支給申請日の前日から1年前までの間に労働関係法令の違反があった会社、労働保険料を納めていない会社は不支給

最後の行は、除雪の残業と直結します。大雪の夜の出動を36協定の時間の外で続け、33条の届も出していなければ、労働関係法令の違反として助成金に響きます。除雪の残業の段取りは、親記事の建設業の冬、給料と除雪の残業はどうする?で整理しています。

助成の見込みを冬の資金計画に入れるときは、計算例の「1人月15万6千円」のうち、助成の計算に入るのは休業手当の部分だけで、保険料の会社負担は丸ごと会社の持ち出しだと分けておきます。60日は助成の条件であって、61日目からも会社都合の休業なら休業手当の義務は続きます。対象地域の確かめ方、1年出し忘れると連続が切れる落とし穴、常用の人数で支給人数が変わる式は、通年雇用助成金は建設業でいくら?で詳しく書いています。

  • 社長の毎日はどう変わるか:12月に通年雇用届を出す段取りと、休業の通知、休業手当の計算が1本につながり、春の支給申請のときに「あの日は丸1日の休業だったか」を日報から拾い直す手間が減ります。

冬の前に、就業規則・賃金規程に何を書いておけばいいですか?

11月、来月からの休業を職人に伝える前に、休業の決め方、休業手当の割合と計算、休業中の社会保険の扱い、通知の方法を規程に書いておきます。冬の明細を見た職人が「なぜこの額か」を規程と明細で確かめられる状態が目標です。

書いておくことは次の5つです。

  1. 休業を命じる場面と手順:積雪などで就業が困難なとき、代替の作業を検討したうえで休業を命じること。休業の期間・対象者を事前に書面で通知すること
  2. 休業の単位:所定労働日の全日を原則とすること(助成金の対象にもなり、1日の一部だけ働いた日の計算も混ざらない)
  3. 休業手当の割合と計算:平均賃金の60%以上とするか、それより多く払うか。計算の基準(締め日からさかのぼる3か月)
  4. 休業中の社会保険・雇用保険の扱い:資格が続くこと、保険料の本人負担分を休業手当から控除すること
  5. 支給割合を変えるときの手順:あらかじめ通知すること(割合の変更は随時改定の起点にもなります)

規定例(冬期休業の通知と休業手当) 会社は、積雪その他の事情により就業が困難な期間について、代替業務の可否を検討したうえで休業を命じることがある。休業を命じるときは、休業の期間、対象者及び休業手当の支給割合を、休業開始日の前日までに書面(電子的方法を含む)で通知する。休業は所定労働日の全日を単位とすることを原則とし、使用者の責に帰すべき事由による休業には、平均賃金の100分の60以上の休業手当を通常の賃金支払日に支給する。

規定例(休業期間中の社会保険等) 休業期間中も、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の被保険者資格は継続し、保険料の従業員負担分は休業手当から控除する。会社は、休業手当の支給割合を変更するときは、あらかじめ従業員に通知する。

いずれも条文イメージです。支給割合、通知の方法、休業中の連絡の取り方は自社に合わせて調整してください。規定を書いただけで、個別の日が不可抗力か会社都合かが決まるわけではありません。日給月給の職人の平均賃金の計算基準は、賃金規程の日給・手当の決め方とそろえて書きます(日給月給の建設業、就業規則に絶対入れるべき賃金規定)。

雪が降る前の手順は、次の順で進めます。

  1. 去年の冬の賃金台帳で、休業手当の月の支給額と控除額を職人ごとに並べ、手取りがいくらだったかを見る
  2. 今年の休業の期間を決め、自社の締め日・支払日で「4か月目の1日」がいつか、等級が動く冬かどうかを暦で確かめる
  3. 上の5点を就業規則・賃金規程に書き、休業の通知の書式を作る
  4. 通年雇用助成金を使うなら、対象の職人と届出の期限(12月16日〜1月31日)を確かめる
  5. 休業を伝えるときに、冬の明細の見込み(休業手当の額・保険料・手取り)と、保険の資格と年金の記録が続くことを職人に先に説明する

職長が1月の明細を受け取り、控除欄を見て「規程に書いてあった額だ」とうなずく。健康保険の資格は冬も切れず、年金の記録は途切れず、春の再開日も通知で分かっている——職人にとっての冬は、手取りが減る季節ではあっても、見通しの立たない季節ではなくなります。社長にとっては、12月に決めた休業の段取りが、3月の等級の判定、春の助成金の申請、7月の算定基礎届まで、同じ台帳の上でつながります。

冬の休業の規定づくりは、建設業の就業規則作成で承っています。中峯社労士事務所では、就業規則の作成・改定(休業の規定や、休業手当の計算方法の規定)を顧問の基本料金内で行っています。月額変更届・算定基礎届の手続きは別料金の手続き業務、通年雇用助成金の申請は顧問料とは別枠の助成金プランで、冬の一連の流れとしてお受けできます(詳細は料金ページ)。雪国の会社でも、オンラインでやり取りしながら進められます(遠方の社労士に頼む流れ)。去年の冬の賃金台帳と出勤簿をお手元に、Zoom30分の無料相談で「うちの冬は等級が動くか」「職人にどう説明するか」を一緒に確かめられます。社員の方でこのページを読まれた方は、社長に見せていただくのがいちばんの近道です。ご相談は会社からお受けしています。最新の制度や金額は、必ず公式サイトでご確認ください。

参考(一次情報)

よくあるご質問

はい。雇用を続けて休業させている間は健康保険・厚生年金の被保険者のままで、保険料は休業前に決まっていた標準報酬月額で計算されます。休業手当だけの月でも、等級が改定されるまでは夏と同じ額を会社も本人も負担します(※2026年10月時点)。
かかります。日本年金機構の事例集は休業手当を報酬に含めており、労働保険の年度更新の手引きでも休業手当は賃金に含まれます。雇用保険料は、建設の事業で本人6/1,000・会社10.5/1,000(令和8年度)を休業手当を含む賃金の額に掛けて計算します(※2026年10月時点)。
低額の休業手当の支払いが月単位で3か月を超えて続き、その3か月の報酬の平均が2等級以上下がる場合に、4か月目の分から改定されます。月末締め月末払いの会社が12月20日から休業し、3月1日時点でも休業中なら、12・1・2月の報酬で3月分から改定の対象になり得ます。3月1日までに再開していれば改定はありません(※2026年10月時点)。
休業手当だけでは決まりません。指定地域・指定業種の会社が、その年度の9月16日以前から雇う季節労働者を対象に、12月16日〜1月31日に通年雇用届を出し、労働基準法26条に沿った休業手当を丸1日の休業に払うことなどが条件です。1人につき1月1日から起算して60日以内の休業が対象で、助成額の計算のもとは休業手当と賃金の合計です(※令和8年度支給要領・2026年10月時点)。
雇用が続いていれば健康保険・厚生年金の被保険者のままなので、冬も健康保険の資格は切れず、厚生年金の記録も途切れません。保険料が夏の等級のままかかる裏返しで、年金の記録もその等級で積まれます。休業手当は平均賃金の60%以上で、ふだんの給料と同じように計算の根拠を会社に確かめられます(※2026年10月時点)。
社会保険労務士 中峯崇文

この記事の執筆・監修:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用と定着の設計まで踏み込みます。

「うちの就業規則は、今のままで大丈夫?」

作成・改定は顧問の基本料金内です。Zoom30分・無料で、御社の現状から「直すべき順番」を整理します。

ご相談で最も多いのは、社長が現場に出ている従業員5〜10人の建設会社さまです。

▼ まずは現状をお聞かせください(相談は無料です) ▼

\ 予約ツールの入力は不要。「まず話だけ」「5分だけ電話」でOKです /

📞 電話で相談 無料相談する

建設業の就業規則・外国人雇用の労務、Zoom30分・無料でご相談ください。