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建設業の冬、給料と除雪の残業はどうする?冬期休業・季節雇用・33条の届と就業規則

テーマ: 建設業の就業規則作成
30秒で結論

雪で現場が止まる日も、会社側の事情で休ませるなら平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。除雪で呼び出す夜の残業も上限規制は自動では外れず、基本は36協定の範囲で対応します。上限の枠の外になるのは、道路交通の確保など人命・公益のための臨時の除雪で33条の許可・届(様式第6号)をした時間だけで、その時間にも割増賃金は要ります。

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従業員6人の外構・土木の会社。12月、事務所の窓の向こうで、資材置き場が白く埋まっていきます。現場は春まで閉まる見込み。社長は職人の名前が並ぶ予定表を前に、「休ませて給料を払うか、いったん離職してもらって春に呼び戻すか」と手を止めます。去年も同じことで悩み、春に連絡したときには別の会社へ移っていた職人もいました。その一方で、町から請け負っている道路の除雪は、大雪になれば夜中でも出動です。雪で仕事が止まる日と、雪で呼び出される夜。積雪地の会社で考えておきたいのは、この両方の給料と働く時間を、雪が降る前に決めておくことです。

この記事では、通年雇用と季節雇用の選び方から、雪の日の給料、除雪で残業が増える夜の36協定と33条の届、契約書、雇用保険、助成金、冬の手当までを順番に整理します。就業規則と年間の予定がそろえば、雪が積もってから社長一人で答えを探す時間を減らせます。

雪で閉まった現場を窓越しに見ながら、職人の冬の働き方を考える建設会社の社長

冬も雇い続けるか、季節雇用にするか、何で比べればいいですか?

比べる軸は、冬の間に払うお金と、春に誰と現場を再開できるかの2つです。春の着工予定を見ながら「あの職長には戻ってきてほしい」と思うなら、冬の給料だけで結論を出すのは早いかもしれません。まず、雇用を続ける場合と、季節ごとに契約する場合を並べます。

選択肢冬の運用と、先に決めること
通年雇用で冬は休業雇用を続け、休業の原因に応じた手当と契約上の賃金を確認。冬の支払いを資金計画に入れる
通年雇用で別の仕事屋内作業、道具の整備、資材整理、請け負っている除雪などを検討。実際に用意できる業務と勤務日・賃金を決める
季節雇用で春に再雇用を検討雇用期間・更新条件・翌春の採用方針を整理。冬の収入や、春に人がそろわない可能性も考える

これはこれからの雇用設計の比較です。現在の職人との契約を確認せず、社長の判断だけで「今年から冬は離職」に切り替える手順ではありません。今の契約期間、これまでの更新、本人への説明を先に確かめます。

通年雇用なら、冬にどれだけ仕事を用意できるかが鍵になります。整備や片付けを並べるだけでなく、「誰に、何日分あるか」まで書くと、仕事で埋まる日と休業になる日が見えてきます。除雪を冬の仕事にするなら、大雪の月に残業がどこまで延びるかも見積もっておきます(手続きはこのあとの除雪の節で整理します)。助成金が使えない場合も支払えるか、併せて試算しておきましょう。

毎年の冬休みは、年間カレンダーに組み込めます

例年、冬に仕事が少ないなら、あらかじめ年間休日カレンダーに冬の休日を組み込む設計も考えられます。忙しい時期と閑散期の働き方を配分する「1年単位の変形労働時間制」も検討対象です。労使協定などの要件やカレンダーの作り方は、建設業の1年単位の変形労働時間制で解説します。国が指定した豪雪地帯に事業場がある建設会社で、屋外で建設工事の作業をする職人には、48時間を超える週の連続と回数の制限が外れる「積雪特例」があり、その使い方と、冬を休日にするか休業にするかの分かれ目は雪の多い地域の1年単位の変形労働時間制で詳しく扱います。

予定した休日と、働く予定だった日に会社が休ませる休業は分けて整理してください。雪が降ってから勤務日を休日扱いにして帳尻を合わせる設計にはしません。休日を多くする案でも、冬の月に本人が受け取る給料を併せて示すと、職人が生活の予定を立てやすくなります。社長も春の受注を、顔ぶれの見通しを持って考えられます。

雪で現場ができない日は、給料や休業手当を払うのですか?

会社側の事情による休業なら、平均賃金の60%以上の休業手当が必要です(※2026年9月時点)。「雪だから無給」「日給だから出勤しない日はゼロ」と一括では処理できません。朝、現場の雪の写真が届き、「今日は中止」と決める。そのときは、安全のために作業を止める判断と、賃金の扱いを分けて確認します。

労働基準法26条は、使用者の責に帰すべき事由、つまり会社側の事情による休業に、この休業手当を求めています。平均賃金は法令に沿って算定する基準で、職人の日給をそのまま指す言葉ではありません。また、契約や就業規則で約束した賃金の扱いも確認が必要です。

一方、不可抗力による休業は同条の支払義務の対象外です。ただし、厚生労働省北海道労働局の資料が示す判断には、次の両方が必要です。

  1. 原因が事業の外部で発生したこと。
  2. 通常の経営者として最大限の注意を尽くしても、避けられなかったこと。

雪は会社の外で起きる自然現象ですが、それだけで判断は終わりません。毎年予定されている現場閉鎖と、急な大雪で道路や作業場所が使えなくなった場合は、同じ説明にはなりません。予測できた状況、現場の危険、別作業の可否などから、休業を避けられたかを個別に検討します。「毎冬の積雪なら必ず会社都合」「災害級なら必ず不可抗力」とも決めつけないことです。

実務では、休業日ごとに「中止理由・現場の状態・検討した代替作業・賃金の処理」を残しておくと、後から判断を説明できます。

規定例(冬期の休業) 会社は、積雪その他の事情により就業が困難な場合、代替業務の可否を検討したうえで休業を命じることがある。使用者の責に帰すべき事由による休業には、平均賃金の60%以上の休業手当を支給する。

条文イメージです。実際の支給水準、既存の賃金の約束、連絡方法を自社に合わせて調整してください。規定を書くだけで、個別の日の不可抗力が確定するわけではありません。

休業が何週も続く冬は、休業手当からも社会保険料が引かれ、保険料の等級(標準報酬月額)は休業手当の支払いが3か月を超えて続かないと見直されないため、職人に冬の手取りを伝える前に冬の休業中の給料と社会保険料で目安を確かめておきましょう。

天候休業の基本や別作業への振替は、雨で現場が休みになった日の休業手当にまとめています。冬も同じ判断軸を持っておけば、給料日の前夜に「あの雪の日をどう処理するか」と記憶をたどらずに済みます。

大雪の夜に除雪で出る日は、残業の上限を超えてもいいのですか?

除雪だからといって、残業の上限(原則として月45時間・年360時間)が自動的に外れるわけではありません。上限の枠の外で働かせられるのは、道路交通の確保など人命や公益を守るための臨時の除雪で、労働基準監督署長の許可を受けた(急な時は事後に届け出た)労働基準法33条の時間だけです。その時間にも割増賃金は要ります(※2026年9月時点)。

1月の夜9時、町の担当者から「朝の通勤時間までに担当の路線を開けてほしい」と電話が入ります。昼に車庫で機械の整備をしていた職長とオペレーターを呼び戻し、作業は明け方まで。こんな夜が週に何度も続けば、職長の残業は36協定(残業や休日出勤をさせるために会社と従業員の代表が結び、労働基準監督署へ届け出る協定)の時間をすぐに超えてしまいます。

厚生労働省の「建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A」も、除雪について「基本的には、36協定で定めた時間外労働の限度時間で対応できることが望ましい」と答えています。そのうえで、除雪の中身によって使える手続きが3段あります(※2026年9月時点)。

考える順番使う手続き・様式残業の上限使う場面
① ふだんの36協定様式第9号(月45時間・年360時間を超える見込みがあれば第9号の2=特別条項付き)原則 月45時間・年360時間。特別条項付きでも年720時間以内、時間外と休日労働の合計で月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内、月45時間超は年6回まで除雪の業務と冬の月の時間を見込んで協定しておく。まずここで収める
② 災害復旧を含む36協定(労働基準法139条)様式第9号の3の2(特別条項付きは第9号の3の3)災害復旧に当たる時間は、月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内の規制が外れる。年720時間以内と、月45時間超は年6回までは残る除雪が「災害時における復旧及び復興の事業」に当たる場合
③ 33条の許可・届(労働基準法33条1項)様式第6号36協定と上限規制にかかわらず、必要な限度で延長できる協定の時間では足りず、道路交通の確保など人命・公益を守るための臨時の除雪が要る場合

表の「月45時間・年360時間」と「月45時間超は年6回まで」は、1年単位の変形労働時間制(対象期間が3か月を超えるもの)で働く人では、「月42時間・年320時間」と「月42時間超は年6回まで」になります(労働基準法36条4項・5項・※2026年10月時点)。冬を休日にする年間カレンダーを1年単位の変形労働時間制で組む会社は、除雪の残業をこの枠で見込みます。

②の「災害時における復旧及び復興の事業」は、災害で被害を受けた道路などの復旧・復興を目的に発注を受けた工事をいい、国や自治体との災害協定(地元の建設業協会などの団体が結んだ協定を含みます)に基づく復旧や、維持管理契約の中で発注者の指示を受けて行う災害の復旧も含まれます。厚生労働省のQ&Aは、こうした事業を行う可能性がある事業場は基本的に139条の36協定を結んで届け出る必要があるとし、これに当たる除雪なら139条を使えるとしています。ただし、どの除雪が当たるかの目安までは示していません。町や県と災害協定を結んでいる会社は、まず今の36協定が様式第9号の3の2(特別条項付きは第9号の3の3)になっているかを見直し、除雪の時間を災害復旧の時間として数えてよいかは所轄の労働基準監督署へ確かめましょう。

②を使う場合、同じ月に通常の工事と災害復旧の両方に就いた人については、月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内の規制は通常の工事の時間だけに掛かり、年720時間以内と月45時間超は年6回までの規制は両方を合わせた時間に掛かります。

③の33条は、協定の時間では足りない臨時の必要がある時に使う手続きで、33条で延ばした時間は上限規制の計算から外れます。②の災害復旧の時間も③の33条の時間も、ふだんの工事の時間と分けて記録しておかないと、どの規制を守れているかを後から説明できません。

36協定の様式の選び方と特別条項の書き方は建設業の36協定の書き方で、今の残業が上限に収まっているかの点検は時間外労働の上限規制チェックリストで解説しています。順番を決めておけば、大雪の予報が出た夕方にも「今月はあと何時間まで協定の中で出せるか」「超えたら何を出すか」を、事務所で答えられます。

33条の対象になる除雪は、どこまでですか?

33条の「雪害」に当たるのは、道路交通の確保など、人命や公益を守るために臨時に除雪する必要がある場合です(令和元年6月7日 基監発0607第1号)。同じ日の許可基準(基発0607第1号)は、雪害などへの対応を認める一方で、「単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めない」としています。北海道労働局 帯広労働基準監督署のリーフレットと厚生労働省のQ&Aが挙げる例を並べると、次のとおりです。

区分例
対象になり得る雪で安全な道路交通が確保できず、通常の社会生活が止まるおそれがある時に、国・自治体などの要請や、決めた条件を満たしたら除雪する契約に基づいて行う除雪
対象になり得る人命に危険がある場合の、住宅などの除雪
対象になり得る大雪で交通など社会生活に重大な影響が予測される時の、予防的な対応
個別の事案による除雪に必要不可欠に付随する業務(降雪前の見回り、凍結防止剤の散布、除雪機械の誘導・交通整理、除雪に向けた準備、作業員の食事などの準備)
認められない単なる業務の繁忙や、それに準ずる経営上の必要

市町村と結ぶ除雪の委託契約のように「積雪が○cmを超えたら出動」と条件を決めた契約は、1行目に当たり得ます。ただし、発注者が国や自治体だというだけで一律に対象になるわけではありません。その日の除雪が「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合」に当たるかで判断されます。

委託契約書と、発注元からの出動の要請・作業指示の控えを冬の前にひとまとめにしておけば、届に添える資料を大雪の翌朝に探し回らずに済みます。

33条の届(様式第6号)は、いつ・何を出せばいいですか?

原則は、除雪の前に所轄の労働基準監督署長へ様式第6号「非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請書・届」を出し、許可を受けます。夜中の大雪で許可を受ける暇がない時は、事後に遅滞なく届け出ます(労働基準法33条1項・同法施行規則13条)。窓口への持参・郵送のほか、電子申請もできます。

事後に出す届には、次の内容が分かるように書きます(時間外労働・休日労働の欄は帯広労働基準監督署のリーフレット、添える資料の欄は各労働局の案内より)。

届の中身書くこと
時間外労働行った期間(日数)、働いた人の実人数、各日の時間外労働時間数、各日の人数
休日労働働いた人の実人数、各日の人数
添える資料「災害その他避けることのできない事由」に当たると判断できる資料があれば、併せて出す(帯広労働基準監督署)。除雪なら、福井労働局は除雪作業の委託契約書の写し等を、山形労働局は国・県などからの作業指示書等を案内

帯広労働基準監督署のページには様式と届の記載例が載っています。記載例では、事由の欄に「令和○年○月○日からの降雪に関して、緊急の要請に基づき、道路交通の確保のため、除雪作業に臨時に従事させたため」と書き、日ごとの延長時間と人数を並べています。日ごとの内訳は別紙にまとめて添付することもできます。山形労働局の資料は、事後の届は遅滞なく出す必要があるため、たとえば1か月ごとにその期間の作業をまとめて届け出るよう案内しています。福井労働局は、持参・郵送なら原本と控えの2部を出すよう案内しています。出し方の案内は労働局ごとに違うことがあるため、最初の冬は所轄の署に確かめてください。

届を出せば何時間でも働かせてよい、という手続きではありません。事後の届を署長が不適当と認めた時は、その時間に相当する休憩や休日を後で与えるよう命じることができます(労働基準法33条2項)。

この記録は、除雪が終わってから思い出して作れるものではありません。冬の前に、日報や出勤簿へ「出動の要請を受けた時刻と要請元」「作業者ごとの開始・終了時刻」「作業の中身(除雪・散布・見回り・誘導)」を書く欄を足しておきます。月末には日報を写すだけで届が作れ、社長が夜中の作業を記憶でたどる必要がなくなります。

33条で働いた夜も、割増賃金は要りますか?

要ります。労働基準法37条は、33条で延ばした時間にも割増賃金を求めています。率は時間外25%以上(月60時間を超えた部分は50%以上)、休日35%以上、深夜(午後10時〜午前5時)25%以上で、時間外が深夜に及べば50%以上(月60時間を超えた部分は75%以上)、休日の深夜は60%以上です(※2026年9月時点)。月60時間を超えた部分の50%は、中小企業にも2023年4月1日から適用されています。夜通しの除雪は、時間外と深夜が重なる時間がほとんどです。時間帯の区切り方と計算例は夜間工事の割増賃金にまとめています。

上限が外れても、健康を守る措置は要ります。山形労働局の資料は、33条の時間外・休日労働は必要な限度に限られるとして、実際の時間外労働を月45時間以内にするなどが重要だとし、やむを得ず長時間になった人には医師による面接指導などを行うよう案内しています。法令でも、週40時間を超えた時間が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人から申出があれば、会社は遅滞なく医師による面接指導を行わなければなりません。80時間を超えた人には、その時間を本人に知らせる義務もあります(労働安全衛生規則52条の2・52条の3)。この時間は、33条で働いた時間も含めた実際の時間で数えます。

大雪が続く週に備えて、オペレーターと誘導員の交代の順番を冬の前に決めておけば、同じ職人に夜が重なるのを防げます。

夜の除雪が続く冬は、健康診断や18歳未満の職人の扱いも変わりますか?

1月の終わり、事務所の壁に貼った除雪の当番表。夜の欄には同じオペレーターの名前が週に何度も並び、誘導員の欄には、春に入った17歳の見習いの名前も書き込まれています。夜の出動が続く冬は、残業の時間と割増のほかに、健康診断と18歳未満の職人の扱いも確かめておきます。

深夜業の健康診断:深夜業(午後10時〜午前5時)を含む業務に常時従事する人には、その業務への配置替えの際と、6か月以内ごとに1回、定期に医師による健康診断(特定業務従事者の健康診断)を行います(労働安全衛生規則45条1項・13条1項3号ヌ・※2026年10月時点)。大阪労働局の資料は、「深夜業を含む業務」を、業務の常態として深夜業を1週1回以上または1か月に4回以上行う業務と説明しています。冬の数か月だけ夜の除雪が続く職人がこの「常時従事」に当たるかは、健康診断を行う時期とあわせて、所轄の労働基準監督署に確かめてください。

18歳未満の職人:満18歳未満の人は、原則として午後10時〜午前5時に働かせることができません(労働基準法61条1項)。この禁止は、33条1項の許可・届で労働時間を延ばしたり休日に働かせたりする場合には適用されません(同条4項)。裏を返せば、33条の許可・届をしない夜の除雪では、18歳未満の職人を深夜に働かせることは原則としてできません。33条に当たる夜かどうかはその日の除雪の中身で判断されるため、18歳未満の職人は、はじめから夜の当番に入れない組み方にしておくと迷わずに済みます。

屋根の雪下ろしや除雪の作業でケガを防ぐ決まりと、ケガをした職人が労災で治療や休業の補償を受けられるかの分かれ目は、雪下ろし・除雪で職人がケガをしたらで整理しています。

当番表の名前の横に、生年月日と、その月に深夜の作業に出た回数を書く欄を足しておけば、誰を夜に出せるか、誰の健康診断の時期を確かめるかを、大雪の夕方にも同じ表で判断できます。健康診断の対象になる職人にとっては、夜が続く冬に体の具合を診てもらう機会を逃さずに済みます。

除雪の待機の時間は、労働時間に入りますか?

出動の指示を詰所や車庫で待ち、指示があればすぐ作業に移る待機なら、労働時間に当たり得ます。厚生労働省のQ&Aは、使用者の指示があれば即時に業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間(いわゆる「手待時間」)を労働時間としています。

一方、自宅で連絡を待つ待機は、行動がどこまで縛られているかなど、実態によって判断が分かれます。降雪が少なく、待機だけで終わった日を33条の届にどう書くかも、所轄の労働基準監督署で個別に確かめてください。社内の思い込みで決めてしまうと、給料と届の両方がずれます。

待機手当の額を決めることと、その時間を労働時間として数えるかどうかは別の話です。労働時間に当たる待機なら、1日8時間・週40時間を超えた分は時間外として割増が要ります。待機の扱いを就業規則と日報で決めておけば、給料日に「あの夜の待ちは何時間だったか」でもめずに済みます。

季節雇用の契約は、期間・更新・春の約束をどう書きますか?

契約書には、契約期間、更新の有無と判断基準、更新上限の有無を書き、翌春の再雇用は「約束」なのか「検討」なのかを分けて書きます(※2026年9月時点)。仕事納めに「春になったらまた頼むわ」と声をかける。社長には声かけでも、職人には来春の仕事の約束として伝わることがあります。契約書を作るときは、その言葉と書面が食い違わないようにします。

期間を定める雇用では、契約期間、更新の有無、更新する場合の判断基準を整理し、更新上限の有無と、上限を設ける場合の内容も明示します。滋賀労働局が公開する建設労働者用のモデル労働条件通知書を参照し、少なくとも次の欄を確認してください。

  • 今回の契約期間:始まる日と終わる日。「雪が降るまで」のように終期を曖昧にしない。
  • 今回の契約の更新:更新するかどうかと、判断する場合の基準。業務量・勤務状況など、自社で実際に判断する内容を書く。
  • 更新上限:有無と内容を確認し、設ける場合は回数や通算期間を明確にする。
  • 翌春の再雇用:採用を約束しているのか、採用を検討する段階なのか。連絡時期と条件の確認方法を分けて書く。

規定例(翌季の再雇用を検討する場合の連絡) 翌季の再雇用を検討する場合、会社は受注見込み及び本人の就労希望を確認し、あらかじめ双方で定めた期日までに採用の可否及び採用する場合の労働条件を書面で通知する。

これは連絡方法の例であり、雇用契約全体のひな形ではありません。すでに再雇用を約束している人に、後から「検討するだけだった」と説明するためには使えません。過去の更新や説明によって扱いが変わり得るため、契約終了に不安がある場合は個別に確認します。契約期間や更新上限の欄の書き方は、建設業の労働条件通知書・雇用契約書の書き方でも整理しています。

本人への説明では、冬の収入と春の連絡予定まで一緒に話しましょう。社長は「戻るつもりだと思っていた」、職人は「仕事があるか分からないから他を探した」という行き違いを減らせます。

季節労働者の雇用保険と特例一時金は、誰が対象ですか?

特例一時金は、雇用保険の「短期雇用特例被保険者」だった人が離職し、失業の状態にある時に受けられるもので、額は基本手当日額の40日分です(※2026年9月時点)。職人から「冬は雇用保険が出るんやろ」と聞かれても、その場で金額を約束しないでください。季節雇用という呼び名と、雇用保険の区分・受給資格は別に確認します。

短期雇用特例被保険者は、季節的に雇われる人のための区分です。季節的な雇用で、4か月以内の期間を定めた雇用ではないこと、週の所定労働時間が30時間以上であることが主な確認点です。契約書だけをこの形にすればよいのではなく、実際の雇い方をハローワークに伝えて確認します。同じ会社に引き続き1年以上雇われると、その日から一般の被保険者(65歳以上は高年齢被保険者)に切り替わります。同じ事業所に1年未満の雇用期間で続けて雇われ、ごく短い離職をはさんで入社と離職を繰り返し、そのたびに特例一時金を受けている人は、原則としてその後は一般の被保険者として扱われます(雇用保険事務手続きの手引き 第2編)。

この区分の人が失業したときに、要件を満たすと受けられるのが「特例一時金」です。主な条件は次のとおりです。

確認すること特例一時金の主な内容
加入・就労の履歴離職前1年間に、11日以上働いた月が通算6か月以上あること。賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として計算する場合もある
失業の状態就職する意思と能力があり、求職活動をしているが就職できないこと
支給額基本手当日額の40日分。40日分は暫定措置。失業の認定を受けた日から受給期限までの日数が40日に満たない時は、その日数分に減る
受給期限離職日の翌日から6か月
待期7日間。離職理由によっては別途給付制限もある

※2026年9月時点(特例一時金のご案内)。具体的な資格・額・手続日程は、ハローワークで確認してください。

40日分は、会社で払っていた日給の40日分ではありません。また、冬の全期間にわたり月々の給料を補う制度として説明するのも不正確です。春の再雇用を約束している場合は、その内容も伝え、失業状態に当たるかを確認します。

冬に離職する季節雇用の職人について会社が出す書類と期限、特例一時金のおおよその額の出し方、受け取る手続きの前にほかの会社で一般の被保険者として働き始めると受け取れなくなる落とし穴は、季節雇用の職人の特例一時金と離職の手続きで詳しく整理しています。

通年雇用を続ける職人を、書類の上だけ離職したことにして利用する設計にはしません。給付の見込みを本人と正しく共有できれば、「社長が出ると言ったのに」という給付をめぐる行き違いを避け、本人も冬の生活費を具体的に考えられます。

通年雇用助成金は、うちの地域で何に使えますか?

通年雇用助成金は、北海道・東北などの指定地域で冬に仕事が減る事業主が、季節労働者を冬も雇い続け、休業や別の仕事、訓練などを行う場合に使える助成金です。令和8年度も存続し、建設業は指定業種です(※2026年9月時点)。冬の資金計画を作るとき、「休業手当を出して雇用を続ける負担を支える制度はないか」と思ったら、まずここを確認します。

対象は北海道・東北の指定地域を中心に、新潟・北陸・長野・岐阜の一部地域などにも及びます。全市町村が対象なのは北海道・青森・岩手・秋田の4道県だけで、ほかの県は市町村や旧町村の単位で細かく指定されています。「北海道と同じくらい雪が降るから対象」と判断せず、支給要領の別表で所在地を照合してください。地域と業種が合っても、それだけで全従業員が対象になるわけではありません。対象になる職人は、その年度の9月16日以前から雇っていて、この措置がなければ冬に離職して特例一時金を受けると見込まれる季節労働者で、前年度の雇われ方などの条件もあります。すでに一年中雇っている職人を、そのまま対象にできる制度ではありません(※令和8年度支給要領・2026年9月時点)。

冬をどう過ごすかによって、確認する助成が変わります

冬に取り組むこと確認する助成の内容
雇用を続けて休業させる要件に合う休業手当と対象期間の賃金に対する助成
事業所内・事業所外で働く機会を確保する要件に合う就業期間の賃金に対する助成
職業訓練を行う対象となる訓練経費の助成
業務転換・新分野への進出を行う措置ごとの条件に合う経費等の助成

それぞれ要件が異なります。冬に別作業を用意しただけで、自動的にいずれかの対象になる制度ではありません。

休業の助成では、労基法26条に違反しない休業手当を支払っていることなどが必要です。対象となる休業の延日数は、申請対象労働者1人につき1月1日から起算して60日以内。支給対象となる休業措置は令和10年4月30日までとされています(※令和8年度支給要領・2026年9月時点)。この60日は助成の条件であり、それを超えれば会社の休業手当の義務がなくなるという意味ではありません。

支給要領の休業助成は、対象の休業手当と、対象期間の賃金(休業手当を除く)の合計額の2分の1、2回目は3分の1が基本です。上限は54万円、新規継続労働者分は71万円とされています(※2026年9月時点)。対象者の区分や期間などで計算が変わるため、冬に払う人件費全体の半分が戻る計算にはしないでください。

就業規則、労働者名簿、出勤簿、賃金台帳など、該当する書類の整備・保管も要件に含まれます。休業の助成を受けるには、その年度の12月16日から1月31日までに通年雇用届などを労働局へ出す流れになっています(※令和8年度支給要領・2026年9月時点)。休業などの措置を始める前に、必要な届出と期限を労働局・ハローワークで確認しましょう。年間の準備は助成金の年間活用計画、冬以外の取り組みは建設業の雇用関係助成金一覧にまとめています。

同じ職人で申請できるのは3年連続の3回までで、1年でも申請を出し忘れるとその職人では続けられなくなるおそれがあること(ハローワークから催促は来ません)や、冬の間に一年中雇っている人が辞めると支給の対象になる人数が減ることがある仕組みは、通年雇用助成金の届出の時期と落とし穴で詳しく整理しています。

先に対象者と使える措置を確認すると、社長は助成金の見込みと、自社で用意すべき資金を分けて考えられます。支給を当てにしてから慌てるより、冬の支払いと春の人手の両方を見通せます。

寒冷地手当・燃料手当・除雪の手当は、残業代の計算に入れますか?

毎月の給料と一緒に払う寒冷地手当・燃料手当は、原則として割増賃金(残業代)の計算の基礎に入ります。「灯油代が上がっているから、冬だけ手当を出そう」。職人を支えるために決めた手当でも、給与計算の設定が基本給だけのままだと、割増賃金の計算漏れにつながります。

割増賃金は、残業などに対して割増して支払う賃金です。その計算の基礎から除けるのは、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金に限られます。寒冷地手当・燃料手当はこのどれにも入らないため、毎月払うなら基礎に算入します。手当の名前だけで除けるわけではありません。

一方、冬の初めに年1回まとめて払う手当は、「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」として除外できる場合があります。ただし、中身は毎月の手当なのに払い方だけをまとめている場合は、除外が認められないおそれがあります。「燃料費だから実費」「年に一度払うから除外」と形式だけで決めず、次を一緒に確認してください。

  • 誰に支払うか、何を基準に支給額を決めるか。
  • どの期間に対応する手当で、いつ支払うか。
  • 給与明細と賃金規定の説明が一致しているか。
  • 割増賃金の基礎に入れるか、除外できる根拠があるか。

払い方ごとに並べると、次のとおりです(労働基準法施行規則21条・最低賃金法施行規則1条・※2026年10月時点)。

冬の手当の払い方割増賃金の基礎最低賃金の判定
毎月払う(冬の数か月だけでも)入る(払った月の単価に足す)入る
2か月ごと・3か月ごとに払う外せる場合がある※入らない
冬の初めに年1回まとめて払う外せる場合がある※入らない

※額も時期も前から決まっている手当(例:月1万円×4か月分を12月に4万円)は、外せないおそれがあります。上の確認点で見極めます。

1か月を超える期間ごとに払う手当は、割増賃金の基礎から外せることがある一方で、最低賃金を満たしているかの計算には数えられません。日給が最低賃金に近い職人に、冬の手当を2か月ごとや年1回で払っている会社は、その手当を除いた賃金で最低賃金を上回っているかを確かめます。時間額への直し方は日給の職人は最低賃金を割っていない?にまとめています。

払い方は、職人が冬に受け取る額にも響きます。毎月払う冬の手当は、休業手当の元になる平均賃金と、特例一時金の元になる雇用保険の賃金日額の計算に入り、年1回まとめて払う手当はどちらにも入りません(労働基準法12条4項・雇用保険法17条1項)。手当を決める時に払い方まで説明しておけば、職人も冬の収入の見通しを立てやすくなります。

年に1回まとめて払う手当は、社会保険では「3か月を超える期間ごとに受けるもの」として賞与に当たり得ます(健康保険法3条6項)。年3回以下の支給なら賞与支払届の対象で、支給日から5日以内に届け出ます。届の出し方は12月の寸志・冬のボーナスにも社会保険料はかかる?で整理しています。

除雪の出動手当や待機手当も、名前だけで割増の基礎から外せる手当ではありません。考え方は夜間工事の夜間手当と同じで、①割増とは別の上乗せとして払う(時間外・深夜の割増は別に計算する)か、②除雪で生じる割増の支払いに充てる(何の割増に充てるかを定め、法令で計算した額に足りない時は差額を払う)かを、賃金規程に書き分けます。①なら、その手当を割増の基礎に入れるかも、支給の実態で確かめます。

手当ごとの扱いと計算例は現場手当・資格手当も残業代に入る?割増賃金の基礎、日給・月給の時間単価などの基本は建設業の賃金規定と計算方法をご覧ください。冬の手当を新設するときに給与計算まで点検すれば、社長の「少しでも生活の足しに」という判断を、給料日の計算漏れで台無しにせずに済みます。

雪が降る前に、何から整えればいいですか?

最初にやるのは、去年の冬の出勤簿・賃金台帳・職人との契約書と、除雪の日報を机に並べて振り返ることです。「去年と同じでいいか」ではなく、休んだ日と払った額、除雪で延びた時間、春に戻った顔ぶれを一緒に見ます。

  1. 冬の仕事を数える:屋内作業や整備、請け負う除雪を含め、誰に何日分用意できるかを書き出す。
  2. 雇用の方針を決める:今の契約を確認し、通年雇用・季節雇用それぞれの負担と本人の希望を整理する。
  3. 除雪の残業の段取りを決める:36協定の業務と冬の時間数に除雪が入っているか、災害協定を結んでいるなら様式が災害復旧を含む第9号の3の2になっているかを確かめ、33条の届に要る記録(要請の時刻、作業者ごとの時間、作業の中身)を日報で取れるようにする。
  4. 給料のルールをそろえる:年間休日、休業手当、冬の手当、除雪の出動手当・待機手当を就業規則・賃金規程・給与計算へ反映し、手当ごとに割増の基礎に入れるかを決める。
  5. 雇用保険と助成金を確認する:職人ごとの条件と必要書類、届出の順番を確かめ、本人にも説明する。

最初から全部の条文を作る必要はありません。自社で決めたいことを整理する段階から、建設業の就業規則作成をご利用いただけます。中峯社労士事務所では、就業規則の作成・改定を顧問の基本料金内で行っています。積雪地の会社でも、オンラインでやり取りしながら作れます(遠方の社労士に頼む流れ)。Zoom30分の無料相談では、冬の仕事量や今の契約、除雪の請け方をもとに、36協定と賃金規程で何を決めるべきかを一緒に整理できます。

雪で現場が閉まる日にも、大雪で呼び出す夜にも、「今年の冬はこの働き方で、この給料になる」と職人に説明できる。その準備が、社長が春の現場の段取りに集中するための土台になります。最新の制度や金額は、必ず公式サイトでご確認ください。

参考(一次情報)

よくあるご質問

原則としてかかります。基本は36協定の限度時間の中で対応し、除雪が災害時の復旧・復興の事業に当たれば139条の協定(様式第9号の3の2など)で月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内の規制が外れます。道路交通の確保など人命・公益のための臨時の除雪で33条の許可・届をした時間は上限規制から外れますが、割増賃金は必要です(※2026年9月時点)。
原則は事前に労働基準監督署長の許可を受けますが、事態が急迫して許可を受ける暇がない時は、事後に遅滞なく様式第6号で届け出ます。事後の届には期間・実人数・各日の時間外労働時間数・各日の人数を書くため、出動した日ごとの記録を残しておきます。
日給制という理由だけでは決まりません。会社側の事情による休業なら、平均賃金の60%以上の休業手当が必要です(※2026年9月時点)。雪の状況や休業を避ける対応、契約・就業規則での賃金の定めを確認します。
日給ではなく、雇用保険の基本手当日額の40日分です(40日分は当分の間の暫定措置)。失業の状態にあることが条件なので、春に同じ会社へ戻る約束がある場合も含め、実態をハローワークに伝えて受けられるかと額を確認します(※2026年9月時点)。
指定地域に当たれば対象になり得ますが、雪が降る地域すべてが対象ではありません。北陸などでは区域が細かく指定されているため、所在地を令和8年度支給要領の別表で確認し、対象労働者等の要件も照合します(※2026年9月時点)。
社会保険労務士 中峯崇文

この記事の執筆・監修:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用と定着の設計まで踏み込みます。

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