建設業専門の社会保険労務士|松原市・堺市・東大阪ほか南大阪 平日 10:00〜17:00/TEL 072-334-4102

「土曜日に働いたら、残業代を出さないといけないの?」建設業の週休と割増賃金

テーマ: 建設業の就業規則作成
30秒で結論

土曜出勤に割増賃金が必要かは「土曜だから」ではなく、週40時間を超えたか、法定休日に働いたかで決まります。週1日(または4週4日)の法定休日に働かせれば35%以上、それ以外で週40時間を超えた分は25%以上の割増になります(※2026年9月時点)。就業規則で法定休日を特定し、振替休日と代休を使い分け、必要なら変形労働時間制を組むと、給料日ごとの計算がぶれなくなります。

→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます

従業員6人の基礎工事会社。工期が押していて、今月は土曜も現場が動きました。給料日の前夜、社長は事務所で出勤簿と電卓を前に固まります。平日はいつもどおり、そこに土曜が3日。職人からは「土曜の分、どうなってます?」と聞かれている。

「土曜日に働いたら、残業代を出さないといけないの?」

この質問は、建設会社の社長からよくいただくものの一つです。答えは「土曜だからではなく、2つの条件で決まる」。この2つさえ押さえれば、給料日ごとに迷うことはなくなります。この記事では、法定休日と所定休日の違い、週40時間の数え方、振替休日と代休、そして変形労働時間制までを順番に整理します。

土曜出勤と残業代の問題を象徴する夕方の現場のイメージ写真

土曜出勤に割増が必要かは、何で決まるのですか?

判断の軸は次の2つだけです。

  1. その週の労働時間が、週40時間を超えたか(超えた分は時間外労働)
  2. 就業規則で定めた法定休日に働かせたか(働かせたら休日労働)

曜日そのものは関係ありません。土曜に出ても週40時間に収まれば割増は発生しませんし、逆に平日だけでも40時間を超えれば割増が必要です。

  • 制度としては:労働時間の原則は1日8時間・週40時間。これを超える労働には25%以上(時間外が月60時間を超える部分は50%以上)、法定休日の労働には35%以上、深夜(22時〜翌5時)には25%以上の割増が必要です(※2026年9月時点)。
  • この会社はどう有利になるか:この2軸で整理できると、土曜出勤のたびに社長が悩む必要がなくなります。「今週は40時間を超えたか」「今日は法定休日か」を見るだけで、単価が自動で決まります。
  • 社長の毎日はどう変わるか:職人に「土曜の分どうなってます?」と聞かれても、その場で理由とともに答えられます。給料袋を渡すときの、あの後ろめたさが消えます。

「法定休日」と「所定休日」は、どう違うのですか?

ここが最大の分かれ目です。

  • 法定休日:労働基準法が求める、週1日(または4週間で4日)の休み。ここに働かせると休日労働となり、35%以上の割増が必要です。
  • 所定休日:会社が上乗せで決めた休み。週休2日にしている会社の「もう1日」がこれです。ここに働かせても休日割増ではなく、週40時間を超えた分に**時間外割増(25%以上)**がかかります。

つまり、日曜を法定休日と定めている会社が土曜に出勤した場合、その土曜は「所定休日の労働」です。35%ではなく、40時間を超えた分に25%、という計算になります。

問題は、多くの会社が就業規則でどちらが法定休日かを特定していないことです。特定していないと、計算のたびに解釈が揺れ、調査で指摘されたときに説明できません。就業規則に「法定休日は日曜とする」と一行入れておくだけで、この揺れは止まります。就業規則を作る意味は10人未満でも就業規則を作るべき3つの理由でも触れています。

週40時間は、どう数えるのですか?

具体的に見ます。平日は8時〜17時、休憩1時間で実働8時間。これが月曜から金曜まで5日間で、ちょうど40時間です。

この状態で土曜に8時間働けば、その8時間はまるごと時間外労働になります。40時間の枠を平日で使い切っているからです。一方、雨で水曜が休みになり、平日が4日(32時間)だった週なら、土曜の8時間を足しても40時間ちょうど。この場合、割増は発生しません。

  • 平日フル稼働+土曜出勤 → 土曜分はすべて25%以上の割増
  • 雨で平日が飛んだ+土曜出勤 → 40時間に収まれば割増なし
  • 土曜が法定休日にあたる → その日の労働はすべて35%以上の割増

雨天で現場が流れた日の給与の扱いは雨で現場が休みになったら給料は?にまとめています。ここを間違えると、40時間の数え方まで狂います。また、移動時間や手待ち時間を数え忘れると、実際は40時間を超えているのに気づけません。線引きは現場への移動時間は労働時間?をご覧ください。

振替休日と代休は、何が違うのですか?

「土曜に出てもろたから、来週の火曜に休ませる」。よくある対応ですが、いつ決めたかで結果が変わります。

  • 振替休日:働く前に、休日と労働日をあらかじめ入れ替えておく方法。その土曜は最初から労働日になるので、休日労働は発生せず、休日割増も不要です(ただし週をまたいで振り替えた結果、その週が40時間を超えれば、超えた分の時間外割増は必要です)。
  • 代休:働かせた後に、代わりの休みを与える方法。その日が法定休日なら休日労働はすでに成立しているため35%以上、所定休日で週40時間を超えていれば超えた分に25%以上の割増が、代休を与えても消えません。

やっていることは似ていても、順番が違うだけで支払額が変わります。「明日出てくれ」とだけ頼み、代わりに休む日を決めないまま後で休ませるなら、それは代休です。振替にするには、就業規則に振替のルール(誰が、いつまでに、どう指定するか)を書いておき、入れ替える日を特定して事前に本人へ伝える必要があります。雨で工程がずれたときの入れ替えの手続きと規定例は、振替休日の手続きと規定例にまとめています。

変形労働時間制を入れると、何が変わりますか?

天候と工期で忙しさが揺れる建設業では、変形労働時間制が有効です。1か月単位や1年単位で労働時間をならし、繁忙期は長め、閑散期は短めに設定できます。

  • 制度としては:一定期間を平均して週40時間に収まるよう、あらかじめ労働日と労働時間を決めておく仕組みです。労使協定や就業規則での定めが必要です。
  • この会社はどう有利になるか:工期が集中する時期の土曜出勤を、割増を発生させずに所定労働時間として組み込めます。年間カレンダーを先に作る会社になります。
  • 社長の毎日はどう変わるか:「今月は残業代が読めない」という不安定さが減ります。年度の初めに人件費の見通しが立つので、見積の精度も上がります。

ただし万能ではありません。事前に決めたカレンダーを、後から都合よく動かすことはできません。導入前に、自社の現場が「事前に決められる」かを見極めることが先です。土曜も現場が動く会社が年間カレンダーと協定をどう組むかは、建設業の1年単位の変形労働時間制で順番に扱っています。時間外の総量が上限に収まっているかは時間外労働上限規制の実態チェックリストで確認できます。

土曜の扱いを固めるには、何から手を付けますか?

順番はシンプルです。

  1. 就業規則で法定休日を特定する(「法定休日は日曜とする」)
  2. 所定休日(土曜など)を明記し、そこに出た場合の計算方法を書く
  3. 振替休日のルールを定める(事前指定の手続き)
  4. 36協定に、時間外だけでなく休日労働の欄も忘れずに記載して届け出る
  5. 日給月給なら、日給を時間単価に換算する式を決めておく(日給月給の建設業が就業規則に入れるべき賃金規定

この5つが決まっていない会社は、給料日ごとに社長の頭の中で計算方法が変わります。そして、その揺れが後から未払い残業代として指摘されます。割増賃金の不足は労基署の是正勧告でよく指摘される項目の一つです。

逆に、5つを決めた会社の給料日は静かです。出勤簿に「法定休日」「所定休日」「振替」の印がついていて、単価は自動で決まる。職人から質問が出ても、就業規則の該当ページを見せれば話は終わります。休日の特定から賃金の計算方法までを現場に合わせて一冊にまとめる進め方は、建設業の就業規則作成のページでご案内しています。当事務所では、こうした休日・割増のルールを含む就業規則や36協定の整備を顧問の基本料金内で行っています(料金の考え方は料金ページをご覧ください)。「土曜の扱いだけでも先に決めたい」という相談から始めて構いません。Zoom30分の無料相談で、御社の勤務実態に合わせた線引きを一緒に決められます。制度は変わることがあるため、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください。

参考(一次情報)

よくあるご質問

「土曜だから」では決まりません。その週の労働時間が40時間を超えたか、就業規則で定めた法定休日に働かせたか、の2点で判断します。週の途中に休みがあって40時間に収まるなら、割増が発生しないこともあります。
法定休日は労働基準法が求める週1日(または4週4日)の休みで、ここに働かせると35%以上の休日割増になります。所定休日は会社が上乗せで決めた休みで、こちらは休日割増ではなく、週40時間を超えた分に25%以上の時間外割増がかかります(※2026年9月時点)。
就業規則で日曜を法定休日と定めているなら35%以上の休日割増です。法定休日を特定していない場合は扱いが不安定になるため、規則で「日曜を法定休日とする」と決めておくほうが計算が固まります。
あらかじめ休日と労働日を入れ替える「振替休日」なら、その日は休日労働にならないため休日割増は発生しません。一方、働かせた後に休ませる「代休」では、働いた日に発生した割増(法定休日なら35%以上、週40時間超なら25%以上)は、代休を与えても消えません。順番が違うだけで結果が変わります。
使えます。天候と工期で忙しさが揺れる建設業とは相性がよく、繁忙期に長め、閑散期に短めの労働時間を組めます。ただし労使協定や事前のカレンダー確定が必要です。当事務所では就業規則・協定の整備を顧問の基本料金内で行っています。
社会保険労務士 中峯崇文

この記事の執筆・監修:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号採用定着士

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用定着士として採用と定着の設計まで踏み込みます。

「うちの就業規則は、今のままで大丈夫?」

作成・改定は顧問の基本料金内(他社相場:作成単体で20〜30万円)。Zoom30分・無料で、御社の現状から「直すべき順番」を整理します。

ご相談で最も多いのは、社長が現場に出ている従業員5〜10人の建設会社さまです。

▼ まずは現状をお聞かせください(相談は無料です)

\ 予約ツールの入力は不要。「まず話だけ」「5分だけ電話」でOKです /

📞 電話で相談 無料相談する

建設業の就業規則・外国人雇用の労務、Zoom30分・無料でご相談ください。