建設業専門の社会保険労務士|松原市・堺市・東大阪ほか南大阪 平日 10:00〜17:00/TEL 072-334-4102

建設業の時間外労働上限規制、今の実態チェックリスト

テーマ: 建設業の就業規則作成
30秒で結論

時間外労働の上限規制は2024年4月から建設業にも適用され、原則は月45時間・年360時間、違反には罰則があります。大事なのは規則を知ることより、自社の現場が実際にこの範囲で回っているかです。勤怠の記録・36協定の内容・繁忙期の残業時間・休日出勤の扱いを、チェックリストで一つずつ確認することから始めます。

→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます

月末、事務所で総務担当のお母さんが職人ごとのタイムカードを電卓で叩いている。「今月、あの現場ずっと出てた〇〇さん、これ何時間になってるやろ」。数えてみると、繁忙期に入ってから月の残業が60時間を超えていた。誰も違反するつもりは無い。ただ、現場が忙しくて、気づいたら超えていた——建設業の時間外労働は、たいていこの形で上限を越えます。2024年4月から上限規制は建設業にも適用済みで、原則は月45時間・年360時間、罰則もあります。この記事は制度の解説ではなく、自社の現場が「今どうなっているか」をその場で確認できるチェックリストです。上から順に、当てはまるか見ていってください。

夕暮れの建設現場で労働時間を気にする職人と社長のイメージ図

そもそも、うちの会社は上限規制の「何を」守ればいいのですか?

まず全体像です。建設業も、原則は月45時間・年360時間という時間外労働の上限が2024年4月から適用されています。これを超えて働かせるには、36協定(時間外労働をさせるための労使協定)が必要で、繁忙期などにさらに延ばすには特別条項という追加の取り決めが要ります。

  • 制度としては:上限規制と36協定が、時間外労働の「上限のライン」を決めています。
  • この会社はどう有利になるか:ラインを把握して現場を回せると、元請けや役所から労務管理を問われても「うちは範囲内で回している」と即答できる会社になります。
  • 社長の毎日はどう変わるか:忙しい現場を抱えていても「これ、法律的に大丈夫なんやろか」という漠然とした不安が消えます。

大事なのは、条文を暗記することではなく、自社の現場が今この範囲で回っているかを知ることです。次のチェックリストで確認します。

チェックリスト1|勤怠の「記録」はできていますか?

上限管理は、正確な記録が無いと始まりません。まずここから確認してください。

  • 職人ごとに、出勤・退勤の時刻を毎日記録している
  • 直行直帰の日も、現場の作業開始・終了の時刻が分かる
  • 現場への移動時間を、労働時間に含めるか決めてある
  • タイムカードや勤怠アプリなど、あとから見返せる形で残っている
  • 「だいたいこのくらい」の自己申告だけで済ませていない

1つでも「できていない」があると、そもそも上限を超えているかどうかを判断できません。移動時間をどう扱うかで記録が大きく変わるため、現場への移動時間は労働時間かもあわせて確認しておくと、記録の基準がはっきりします。役職手当を払っている現場監督や職長も、勤怠の記録から外すことはできません。管理監督者に当たる場合でも、労働時間の状況の把握は必要です(現場監督・職長に残業代は出ない?管理監督者の判断基準)。

チェックリスト2|36協定は「今の現場」に合っていますか?

36協定は出して終わりではなく、内容が現場の実態と合っていないと意味を持ちません。

  • 36協定を労基署に届け出ている(有効期間内である)
  • 協定で定めた時間と、実際の残業時間が大きくずれていない
  • 繁忙期に上限を延ばすなら、特別条項を入れてある
  • 協定を結んだ労働者の代表を、正しい手順で選んでいる
  • 協定の内容を職人にも伝えてある(周知している)

現場が忙しくなると残業が増えますが、協定が数年前のままだと、実態が協定を追い越してしまいます。特別条項の設計は特に間違えやすいところです。36協定そのものの整え方は建設業の36協定の結び方で詳しく解説しています。

チェックリスト3|繁忙期と休日出勤の「上限」を意識できていますか?

上限規制で見落とされやすいのが、月単体ではなく「年間の総枠」や「連続する月の平均」にも上限がある点です。

  • 繁忙期に、月の残業が突出して増える職人がいる
  • 年間を通した残業の合計を把握している
  • 休日に現場へ出てもらうことがある(休日労働の扱いを決めてある)
  • 特定の職人だけに負担が集中していないか見ている
  • 「今月は多かったから来月は抑える」と調整できている

ここで「上限に近い職人がいる」と分かること自体に価値があります。気づければ、応援を頼む・工程を組み替えるといった手が打てるからです。休日に出てもらった分を事前の振替休日にするか、後から代休にするかで、休日労働に当たるかが変わります(振替休日と代休の違い)。

  • この会社はどう有利になるか:残業の偏りを早めに見つけられる会社は、特定の職人に頼りきらず、チームで現場を回せます。
  • 社長の毎日はどう変わるか:「あの人が倒れたら現場が止まる」という綱渡りの不安が減り、無理な工程を断る判断もしやすくなります。

チェックリストで「危ない」が見つかったら、どうすればいいですか?

チェックして「できていない」や「危ない」が複数見つかっても、慌てる必要はありません。多くの会社が同じ状態からスタートしています。優先順位は、①勤怠の記録の仕組み → ②36協定の内容 → ③繁忙期の工程調整、の順で整えるのが現実的です。

自社の就業規則や36協定が上限規制に対応できているかは、建設業の就業規則作成のページでも考え方を紹介しています。当事務所では、就業規則と36協定の整備を顧問の基本料金内でサポートしており、勤怠の記録の仕組みづくりまで含めて相談できます。「うちの現場、このチェックで何個か引っかかった」という方は、Zoom30分の無料相談で、どこから手を付けるべきかを一緒に整理できます。上限規制の細かな数値や運用は改正されることがあるため、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください。

参考(一次情報)

よくあるご質問

はい。2024年4月から建設業にも適用されています。原則は月45時間・年360時間で、違反には罰則があります。古い就業規則や36協定のままだと、実態が上限を超えていることに気づけません(※2026年7月時点)。
上限規制には罰則が定められています。ただし、まず問われるのは記録と36協定の整合です。勤怠を正しく記録し、36協定の範囲内で運用できていれば、過度に恐れる必要はありません。
特別条項付きの36協定で、繁忙期の上限を定める方法があります。ただし年間の総枠や連続する月の平均にも上限があるため、規則と実態を突き合わせて設計する必要があります(※2026年7月時点)。
出退勤の時刻を客観的に記録することが出発点です。直行直帰が多い建設業では、移動時間の扱いも含めて「どこからが労働時間か」を決めておかないと、記録がぶれて上限管理ができません。
36協定には有効期間があり、期間満了ごとに締結・届出をやり直す必要があります。内容が現場の実態と合っているか、更新のタイミングで見直すのがおすすめです。
社会保険労務士 中峯崇文

この記事の執筆・監修:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号採用定着士

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用定着士として採用と定着の設計まで踏み込みます。

「うちの就業規則は、今のままで大丈夫?」

作成・改定は顧問の基本料金内(他社相場:作成単体で20〜30万円)。Zoom30分・無料で、御社の現状から「直すべき順番」を整理します。

ご相談で最も多いのは、社長が現場に出ている従業員5〜10人の建設会社さまです。

▼ まずは現状をお聞かせください(相談は無料です)

\ 予約ツールの入力は不要。「まず話だけ」「5分だけ電話」でOKです /

📞 電話で相談 無料相談する

建設業の就業規則・外国人雇用の労務、Zoom30分・無料でご相談ください。