元請けから「社会保険に入って」と言われたら|作業員名簿で止められる3つの書き方と現場に入り続ける手順
元請けが作業員名簿で社会保険を確かめるのは、国の下請指導ガイドラインが、加入を確認できない作業員を特段の理由がない限り現場に入れないよう求めているためです。指導の対象は、空欄、法人なのに国保・国民年金、5人以上の個人事業所なのに国保・国民年金の3つ。保険証の廃止後は、CCUSか資格情報のお知らせ・資格確認書で加入を示します。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます従業員7人の内装工事会社(株式会社)。月曜の朝、事務担当が事務所のパソコンでメールを開くと、先週元請けに出した作業員名簿が戻ってきていました。社会保険欄に赤い丸が3つ。添えられていたのは「法人所属の作業員で、健康保険が国民健康保険、年金が国民年金になっています。適切な保険への加入が確認できない方は、新規入場をお受けできません」という一文です。丸が付いたのは、何年も一緒に現場へ出ている職人3人の行でした。昼に事務所へ戻った社長に画面を見せると、しばらく黙ったあとで一言。「全員を社会保険に入れたら、保険料の会社負担が膨らみすぎて会社が持たない」——。
名簿の差し戻しには、欄の書き方を直せば消えるものと、会社として加入を直さない限り消えないものがあります。この記事では、国土交通省の下請指導ガイドライン(2025年12月10日改訂)の原文に沿って、名簿のどの書き方で止められるのか、健康保険証が無くなった今なにを出せばいいのか、そして現場を止めずに加入を整える順番を整理します。

なぜ元請けは、作業員一人ひとりの社会保険まで確認するのですか?
国土交通省の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」が、適切な保険への加入を確認できない作業員について、特段の理由がない限り現場入場を認めない取扱いを元請けに求めているからです。元請けが厳しくなったのではなく、元請け自身が国から確認と指導を求められています。
ガイドラインは平成29年度(2017年度)以降、元請けに対して、社会保険に未加入の建設企業を下請に選ばないことと、加入を確認できない作業員を現場に入れないことを求めてきました。さらに令和元年度(2019年度)の建設業法などの改正で、施工体制台帳(元請けが現場ごとに作る、下請けの顔ぶれと体制の台帳)に作業員の保険の加入状況を書くことになり、ガイドラインの言葉では「実質的に作業員名簿の作成が義務化」されています。元請けは、新しく現場に入る人を受け入れるたびに、名簿の社会保険欄を確かめる立場です。現行のガイドラインは2025年12月10日に改訂された版です(※2026年9月時点)。
会社の側では、2020年10月から、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の適用事業所(保険に加入する事業所)に当たる営業所すべてについて、その届出をしていることが建設業許可の要件になっています。そのうえでガイドラインは、従業員を社会保険に加入させる義務を負っているのは雇い主である下請けの会社自身だ、とも明記しています。
作業員名簿のどの書き方で差し戻されるのですか?
ガイドラインが名簿で指導の対象にしている書き方は3つで、①保険の欄の全部または一部が空欄、②法人に所属する作業員なのに健康保険欄が「国民健康保険」、または年金保険欄が「国民年金」、③5人以上が載った個人事業所の名簿で同じく「国民健康保険」「国民年金」です。このうち書き方を直すだけで済む可能性があるのは①だけで、②と③は書き方ではなく加入そのものの問題です。
| 名簿の書き方 | ガイドラインでの扱い | 書き方の直しで済むか | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ①保険の欄の全部または一部が空欄 | 指導の対象(第2(5)) | 加入済みなら済む | 入っている保険の名称を書く。入っていなければ加入の手続き |
| ②法人の作業員で「国民健康保険」「国民年金」 | 指導の対象(第2(5)) | 済まない(例外は次の見出し) | 会社で健康保険・厚生年金の資格取得届(加入の届け)を出す。会社として未加入なら新規適用届も |
| ③5人以上が載った個人事業所の名簿で「国民健康保険」「国民年金」 | 指導の対象(第2(5)) | 常時5人以上雇っているなら済まない | 新規適用届(会社として加入するための届け)と資格取得届 |
| 実態は雇っている人を、一人親方(社会保険の適用除外者)として記載 | 「不自然な取扱い」(第2(2)ウ) | 済まない | 働き方の実態を確かめ、雇用なら雇用契約と加入 |
| 工事ごとに4人以下の名簿を出す個人事業主が、実際は5人以上を常用 | 「不自然な取扱い」(第2(2)ウ) | 済まない | 常時5人以上の事業所として新規適用届 |
下の2行は、ガイドラインが「不自然な取扱い」として挙げ、元請けが事実を確かめたうえで指導するとしている例です。名簿の見た目だけ整えても、実態が変わらなければ差し戻しは止まりません。
判定の前提になる加入義務は、感覚ではなく条件で決まります。
- 法人:社長1人だけの会社でも、健康保険・厚生年金保険の適用事業所です
- 個人事業:建設業は適用される業種なので、常時5人以上の従業員がいれば適用事業所です。4人以下なら、従業員は本人が国民健康保険(建設国保などを含む)・国民年金に入ります。対象になる従業員の半数以上の同意を得て認可を受ければ、任意で適用事業所になる道もあります
- 雇用保険:週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人は加入します
- 年齢:厚生年金は70歳未満が対象で、健康保険は75歳から後期高齢者医療に移ります
作業員名簿の社会保険欄は、どう書けば正しいですか?
健康保険欄と年金保険欄には保険の名称だけを書き、保険者番号・記号番号や基礎年金番号は書きません。雇用保険欄は被保険者番号の下4桁です(ガイドライン別紙3)。丁寧な事務担当ほど番号まで全部書き写してしまいがちですが、名簿に要るのは名称です。
| 欄 | 書くこと | 例外の書き方 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 名称だけ(協会けんぽ/○○健康保険組合/○○建設国保/国民健康保険)。保険者番号・記号・番号は書かない | 上の保険のどれにも入っておらず、後期高齢者(75歳以上)であるなどの人は「適用除外」 |
| 年金保険 | 名称だけ(厚生年金/国民年金)。基礎年金番号は書かない | 年金を受け取っている人は「受給者」 |
| 雇用保険 | 被保険者番号の下4桁 | 日雇いで雇用保険に入っている日雇労働被保険者は「日雇保険」、事業主や一人親方などは「適用除外」 |
名簿を元請けに出す前に、もう一つ手順があります。被保険者番号などは個人情報にあたるため、ガイドラインは、利用目的(保険の加入状況を元請けに確認させること)を示したうえで、あらかじめ作業員本人の同意を得ることを求めています。入社のときの書類と一緒に同意をもらっておけば、新しい現場の名簿のたびに一人ずつ聞いて回らずに済みます。
もう一つ間違えやすいのが「適用除外」という言葉です。再下請負通知書(下請けがさらに下へ発注したときに元請けへ出す届け)や施工体制台帳の「健康保険等の加入状況」欄と、作業員名簿の社会保険欄とでは、同じ「適用除外」でも意味が違います。
| 書類の欄 | 見ている単位 | 「適用除外」の意味 | 当てはまる例 |
|---|---|---|---|
| 再下請負通知書・施工体制台帳の「健康保険等の加入状況」 | 会社(営業所) | 従業員の人数などで、その会社にその保険が適用されない | 常用の従業員が4人以下の個人事業所の健康保険・厚生年金、人を雇っていない一人親方の3つの保険 |
| 作業員名簿の社会保険欄 | 作業員一人ひとり | その人がその保険の対象にならない | 健康保険は後期高齢者など、雇用保険は事業主・一人親方など |
「国民健康保険と国民年金に入っているから適用除外」と書くのは、どちらの意味にも当たりません。国保・国民年金の人は、名簿にその名称を書きます。なお、健康保険の対象者が全員、適用除外の承認(条件は次の見出し)を受けた建設国保の組合員という会社は、会社欄の健康保険で「適用除外」を選び、建設国保の名称を書くと国土交通省が示しています(一部の人だけなら、協会けんぽなどの記号・番号を書きます。建設国保と厚生年金に加入する事業所の記載方法)。
法人で建設国保に入っている職人は、作業員名簿で通りますか?
通ります。ただし、年金事務所で健康保険の適用除外の承認(健康保険法3条1項8号)を受けて建設国保などの国民健康保険組合に入っていることと、厚生年金に加入していることの2つがそろっている場合だけです。ガイドラインは、この人を「適切な社会保険に加入している者」としています。
この承認は、保険料を下げるための抜け道ではありません。すでに建設国保に入っている人が、入社したときや会社が法人・常時5人以上になったときに、健康保険の入り先を変えずに済む手続きで、条件が決まっています。
- 申請は、事実が起きた日(入社日など)から14日以内。年金事務所へ「健康保険 被保険者適用除外承認申請書」を出し、国保組合の理事長の証明を受けます。14日を過ぎると遅延理由書が要ります
- 厚生年金の資格取得届は、5日以内に出します
- 組合によっては、法人や常時5人以上の事業所からの新規加入を受け付けていません(全国建設工事業国民健康保険組合など)。今から建設国保へ入り直す道ではありません
面接で職人が「建設国保に入ってるんで、そのままでいけますか」と言ったら、その場で入社日を決め、14日の数え始めを事務担当と共有しておくのが確実です。承認のない建設国保は、法人の作業員にとって適切な保険になりません。年金保険欄が「国民年金」なら、それだけで②の指導の対象です。本人が「入りたくない」と言う場合の説明の仕方や手取りの比べ方は、職人に「社会保険に入りたくない」と言われたらにまとめています。
名簿で迷いやすい人の書き方と扱いを並べると、次のとおりです。
| 作業員 | 健康保険欄 | 年金保険欄 | 名簿での扱い |
|---|---|---|---|
| 法人の職人で、適用除外の承認を受けた建設国保の組合員 | ○○建設国保 | 厚生年金 | 適切な保険 |
| 法人の職人で、承認のない建設国保の組合員 | ○○建設国保 | 国民年金 | 指導の対象 |
| 臨時に使う、1か月以内の日々雇用の手元さん | 本人が入っている国民健康保険など | 国民年金など | 健康保険・厚生年金の適用除外(ガイドラインも例外として明記)なので、入っている保険の名称をそのまま書く |
| 75歳以上の職人 | 適用除外 | 受給者(年金を受け取っている場合) | 適切な書き方 |
日々雇い入れる手元さんも、1か月を超えて続けて使えば、その日から健康保険・厚生年金の対象です。日雇いの雇用保険や書類の整え方は建設業の日雇い・短期の手元さんで解説しています。
保険証が無くなった今、加入の確認には何を出せばいいですか?
原則はCCUS(建設キャリアアップシステム)の登録情報で、この場合は証明書類を添付する必要がありません。CCUSを使わない場合は、マイナ保険証を持っている人は「資格情報のお知らせ」のコピーかマイナポータルの被保険者資格情報の印刷物、持っていない人は「資格確認書」のコピーを、確認に必要な事項以外を黒塗りして出します。
2025年12月10日の改訂で、ガイドラインの確認書類は「健康保険証のコピー」からこれらの書類に差し替わりました。詰所で、財布から角のすり減った保険証を出してくれる職人がいても、そのコピーはもう使えません。
| 作業員の状況 | 出すもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| CCUSに登録している | CCUSの登録情報(元請けがCCUSの閲覧画面などで確認) | 書類の添付は不要。登録内容を最新にしておく |
| CCUS未登録で、マイナ保険証がある | 保険者から届いた「資格情報のお知らせ」のコピー、またはマイナポータルの被保険者資格情報(PDFか印刷物) | 確認に必要な事項以外は黒塗り |
| CCUS未登録で、マイナ保険証がない | 保険者から届いた「資格確認書」のコピー | 確認に必要な事項以外は黒塗り |
| 手元に従来の健康保険証しかない | 使えない | 有効期限は2025年12月1日で終了。資格確認書か資格情報のお知らせを探してもらう |
CCUSは、技能者の就業履歴などを登録する仕組みで、登録のときに社会保険の加入証明書類などを確かめているため、ガイドラインは証明書類の添付を求めていません。
従来の保険証のコピーは、国土交通省の事務連絡(2024年11月6日)で、最長で2025年12月1日まで使えるとされていました。厚生労働省によると、従来の健康保険証の有効期限は2025年12月1日で終わり、期限切れの保険証を医療機関で使える暫定的な扱いも2026年7月31日で終了しています。いま従来の保険証のコピーで加入を示せる場面はありません(※2026年9月時点)。マイナ保険証を持っていない人には、当分の間、保険者から申請なしで資格確認書が届く仕組みです。
ガイドラインは、標準報酬決定通知書などのコピーや、雇用保険被保険者証のコピーも確認書類に挙げています(電子データでも可)。資格取得届を出すと、年金事務所での確認のあとに「資格取得確認および標準報酬決定通知書」が会社へ届きます。入社したばかりで本人の手元に書類がそろっていない職人は、この通知書で示せないか元請けに相談できます。
一人親方として名簿に載せている職人は、どう判断されますか?
契約書の名前ではなく、働き方の実態で判断されます。実態は雇っている人を一人親方として名簿に載せることを、ガイドラインは「不自然な取扱い」と呼び、元請けが事実を確かめたうえで指導するとしています。
一人親方として請負契約を結んでいて雇用保険に入っていない作業員がいると、元請けは下請けに再下請負通知書と請負契約書の提出を求め、本人にも現場での働き方を確かめます。物差しになるのが、ガイドライン別紙4の「働き方自己診断チェックリスト」です。ガイドラインは、実態が雇用ではないかと疑われる例として次の3つを挙げています。
- 10代の技能者が一人親方として扱われている
- 経験3年未満の技能者が一人親方として扱われている
- チェックリストで確かめた結果、雇用労働者に当てはまる働き方をしている
当てはまると、元請けはその会社に、雇用契約の締結、働き方に合った社会保険への加入、法定福利費(社会保険料などの会社負担分)の確保を促します。その際に下請けから法定福利費の追加見積りが出されたら、元請けと下請けで十分に協議する必要がある、ともガイドラインは書いています。再三の指導に応じず改善が見られなければ、その会社の現場入場を認めない取扱いになります。
反対に、雇用契約も社会保険もないのに、会社のヘルメットや名刺を渡して表向きは「社員」と呼んでいる形や、名簿の上だけ「社員」にしている形も、実態に合わせるよう求められています。さらにガイドラインには、2026年度以降に経験年数やCCUSのレベルなどから「適正でない一人親方」の目安を策定することを目指す、と書かれています。国土交通省の公表資料を確認した範囲では、目安はまだ示されておらず、予定の段階です(※2026年9月時点)。
線引きの考え方は一人親方の社会保険・外注と雇用の線引きと偽装請負チェックリストに、雇い直す手順は一人親方を従業員として雇い直すにまとめています。ここを曖昧にしたまま加入手続きだけ進めると、後からさかのぼって指摘を受ける原因になります。雇用に切り替えた職人には就業規則も適用されるので、社員と請負の線引きを規則の適用範囲にも書いておくと、名簿の書き分けと食い違いません(→建設業の就業規則作成)。
加入が間に合わない作業員は、現場に入れないのですか?
原則は入れません。例外になる「特段の理由」は、ガイドラインで次の3つの場合に限られています。
- 伝統建築の修繕などで、その作業員の特殊な技能がなければ施工が難しい場合
- 社会保険の加入手続き中など、今後確実に加入が見込まれる場合
- 災害時などの緊急の工事で、施工に大きな支障が出るおそれがある場合
下請けにとって現実的なのは2つ目です。加入の手続きを始めていることを示せれば、入場を認めてもらえる余地があります。ただし、入場を認めるかどうかを決めるのは元請けです。認めた場合も元請けは加入の指導を続け、再三の指導に応じなければ入場を認めない取扱いにするとされています。「いずれ入れます」では通らず、「今日、届出を出しました」が効くのはこのためです。
ガイドラインは下請けの側にも、加入を確認できない作業員を現場に入れないよう求めています。名簿を出す前に自社の加入状況を確かめておくのも、下請けの役目です。
放置すると、いきなり取引が止まるのではなく、段階を踏んで外されていきます。
- 名簿で指摘される:作業員名簿や再下請負通知書の加入状況の欄が、空欄や「未加入」のまま差し戻される
- 人単位で入れなくなる:朝礼の前に特定の作業員だけ現場入場を断られ、その日の段取りが崩れる
- 会社単位で声がかからなくなる:ガイドラインは、加入義務があるのに加入しない建設企業を「不良不適格業者」と位置づけ、下請に選ばないよう元請けに求めています。次の工事の見積り依頼が来なくなります
- 許可に響く:会社として社会保険の届出(適用事業所の届出)をしていなければ、許可の要件を満たさず更新できない
許可の要件は会社単位の届出で、作業員ごとの加入までは求められていません。作業員ごとの未加入が効くのは、1・2の元請の確認と現場入場です。3の段階になってから気づくと、失注は取り返せません。未加入が許可と元請対応の両方で効く仕組みは建設業で社会保険が未加入だとどうなる?に整理しています。なお経審のW点では、2026年7月1日以降の申請から社会保険の加入状況が審査項目から外れました(→経審のW点と社会保険)。
差し戻されたら、どの順番で整えればいいですか?
順番は「差し戻された行の仕分け→全員の棚卸し→一人親方の実態判定→届出の日付と原資→元請けへの工程の提示」です。書き方の問題はその日のうちに直し、加入の問題は届出を先に延ばさず、原資の手当てと並べて進めます。
- 差し戻された行を仕分ける:「空欄だが実は加入済み」「名称の書き違い」といった書き方の問題と、「法人なのに国保・国民年金」といった加入の問題に分ける。書き方の問題は、その日のうちに直して出し直す
- 現場に入る全員を棚卸しする:名前、雇用か請負か、週の労働時間、年齢(40歳・70歳・75歳の節目)、今入っている保険(協会けんぽ・建設国保・国民健康保険など)を一覧にする
- 一人親方の実態を判定する:チェックリストで、実態が雇用に近い人を先に特定する。ここが元請けからいちばん突かれる論点です
- 届出の日付と原資を固める:雇っている人が健康保険・厚生年金の資格を取る日は、法律上、法人なら会社で働き始めた日です。個人事業所が常時5人以上になって適用事業所になった場合、それより前から働いていた人は、事業所が適用事業所になった日が起点です。届出が遅れていた人は、その日にさかのぼって手続きし、保険料もさかのぼって納めることになります(徴収の時効は2年なので、最大2年分)。請負として独立して働いていた一人親方を雇い直す人は、雇用契約を始める日が資格を取る日です。実態がもともと雇用だった人は、法律上は実際に使われ始めた日が基準になります。建設国保に残りたい人がいれば、承認の申請はその日から14日以内です。あわせて会社負担分を試算し、法定福利費を見積書に明示して受け取る段取りを作ります(→法定福利費の内訳明示見積書の作り方)
- 元請けに工程を示す:「誰を、いつ、どの保険に入れるか」を、届出の控えなど手続きを始めたことが分かる書類と一緒に書面で示す。増える法定福利費は、内訳を書いた見積書にして一緒に協議に出す。ゼロ回答ではなく工程と控えを示せば、ガイドラインの「加入手続き中」として扱ってもらえる余地が生まれます
届出だけ先に出して原資の段取りを後回しにすると、翌月の資金繰りで詰まりやすくなります。逆に、原資の段取りを理由に届出を止めていると、その間も入場は認められず、さかのぼって納める保険料も月ごとに積み上がります。両方を同じ週に動かすのが、傷のいちばん浅い進め方です。
整えたあとは、名簿を開くときの気持ちが変わります。
加入状況の書類が、いつ求められても出せる状態になります。元請けの確認は「確認するだけ」で終わり、指導や入場制限の対象になりません。会社としての届出という許可の要件も、満たした状態で更新を迎えられます。
新しい現場の名簿を頼まれても、どの欄に何を書くかで手が止まりません。職人から「入ってないと入れんらしいで」と聞かれても、その場で説明できます。加入手続きが済んでいるからこそ、若い職人に「うちは社保あるよ」と言って口説けます。
年金事務所などの調査で人件費と法定福利費がどういう筋道で増えるかは建設業の労務調査で見られる点と整える順番にまとめています。
保険料の負担は、どれくらい増えますか?
会社負担は、賃金のおよそ16%(16.145%)が目安です。職人の賃金が月に合計100万円なら、会社負担はおよそ16万円になります。大阪府の協会けんぽに加入し、40〜64歳の人が半分という前提で、健康保険・介護保険・厚生年金保険・子ども・子育て拠出金・雇用保険に、2026年4月分からの子ども・子育て支援金を加えた事業主負担分を合計した率です(計算の内訳は法定福利費の内訳明示見積書の作り方)。健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料と子ども・子育て支援金は労使折半で、子ども・子育て拠出金は会社の全額負担、雇用保険料は建設の事業では会社の料率のほうが高く決まっています。料率は年度・都道府県・従業員の年齢によって変わるため、必ず最新の料額表で試算してください(※2026年9月時点)。
ただ、この16%前後を丸ごと利益から削る必要はありません。吸収の道は3つあります。
- 法定福利費を見積書に明示して受け取る:一式見積りのままだと、値引きのたびに保険料の原資が消えます。ガイドラインも元請けに、法定福利費を内訳に書いた見積書を出すよう下請けに求め、出された見積書を尊重して契約することを求めています
- 賃金体系を組み替える:日給のままか、日給月給か、手当をどう置くか。設計次第で総額の伸び方が変わります(→日給月給の建設業が就業規則に入れるべき賃金規定)
- 助成金を使う:有期契約で雇った人を正社員に転換すると、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の対象になり得ます。要件が細かく決まっているので、雇い入れる前に確かめます(→助成金が不支給になるパターン)
まず何から始めればいいですか?
最初の一手は、差し戻された行の作業員について「雇用か請負か」「今入っている保険」「働き始めた日」の3つを確かめることです。この3つがそろえば、書き方の直しで済むのか、今日届出を出すべきなのかが分かり、元請けへの返事も書けます。続けて現場に入る全員の一覧(名前・契約の形・週の労働時間・年齢)を作れば、増える保険料も試算できます。
当事務所は建設業に特化しており、一人親方から従業員への移行対応を毎月のように扱っています。実態判定、加入手続き、賃金設計、助成金までを一つの流れで整えられるのが強みです。加入の判定から届出、法定福利費の考え方までの全体像は建設業の社会保険にまとめています。社会保険・労働保険の手続きは手続き業務として対応しており、料金は料金ページのとおりです。「元請けに何と返事をすればいいか分からない」という段階でも構いません。Zoom30分の無料相談で、差し戻しの内容を一緒に見ながら、返事の文面と加入の工程を決められます。最新の制度や金額は、必ず公式サイトでご確認ください。
参考(一次情報)
- 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン 令和7年12月10日改訂(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001973950.pdf
- 健康保険証の廃止に伴う現場作業員の健康保険の加入証明書類について 令和6年11月6日事務連絡(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001841758.pdf
- 建設業における社会保険加入対策について(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000080.html
- マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
- 従業員を採用したとき(健康保険 被保険者適用除外承認申請書)(日本年金機構): https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hihokensha/20140718.html
- 適用事業所と被保険者(日本年金機構): https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html
よくあるご質問
「今の状態で調査が入ったら、うちは持つのか?」
未加入・一部加入のまま人を増やしてきた会社ほど、指摘されてからでは負担が一度に来ます。保険料と人件費の見通しを立てて、無理のない順番で整えます。Zoom30分・無料です。
ご相談で最も多いのは、社長が現場に出ている従業員5〜10人の建設会社さまです。
▼ まずは現状をお聞かせください(相談は無料です) ▼
\ 予約ツールの入力は不要。「まず話だけ」「5分だけ電話」でOKです /