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就業規則がないと助成金はもらえない?建設業でよくある不支給パターン

テーマ: 建設業の就業規則作成
30秒で結論

雇用系の助成金の多くは就業規則や労働条件の整備が前提で、規則が無い・実態と食い違う・出勤簿や賃金台帳が整っていない・残業代の不払いがあると不支給になりがちです。助成金は「もらうため」でなく、体制整備の副産物として捉えるのが建設業では現実的です。

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従業員6人の外装工事会社。有期契約で入っていた若い職人を正社員に上げた数か月後、同業の社長に「それ、助成金の対象やったんちゃう?」と言われて調べ始める。申請の入口までたどり着くと「就業規則の写しを添付してください」と書いてあって、そこで手が止まる——。後になって社長が口にするのは、たいていこの一言です。「もらえるはずの助成金を取り逃していた」。結論から言うと、雇用に関する助成金の多くは、就業規則や労働条件がきちんと整っていることを前提にしています。ここでは、建設業で助成金が受け取れない・そもそも申請できない代表的なパターンと、その直し方を整理します。「作成を頼むと高くつくから」と就業規則づくりを後回しにしている会社にこそ、読んでいただきたい内容です。

助成金申請が書類の不備で通らない様子のイメージ図

就業規則がないと、本当に助成金はもらえないのですか?

助成金の種類にもよりますが、雇用や労働環境の改善を目的とした助成金の多くは、「ルールが文書で整っていること」を前提にしています。就業規則は、賃金・労働時間・休日などのルールを定めた文書で、まさにその土台にあたります。

つまり助成金は、「制度が整っている会社に、その取り組みの後押しとして支給される」もの。土台となる就業規則が無ければ、スタートラインに立てないことがあるのです。逆に言えば、就業規則をきちんと整えておくことは、助成金を受けるための準備であると同時に、労使トラブルを防ぐ備えにもなります。

常時10人以上なら、就業規則は「義務」です

そもそも就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署へ届け出ることが法律で義務づけられています(労働基準法89条)。

  • 「10人」は会社全体ではなく、事業場(現場や事務所などの単位)で数えます
  • パートやアルバイトも人数に含めます

10人未満なら作成義務はありませんが、助成金の要件として就業規則を求められる場面は多く、整備しておくと使える制度の幅が広がります。なお、いったん10人以上になったあとに一時的に下回っても、常態として10人以上であれば義務は続くと考えられます。人の出入りが多い建設業では、「今は9人だから大丈夫」と油断せず、実態で判断することが大切です。

建設業でよくある不支給・申請不能パターンは?

実際に多いのは、次の4つです。

  • 就業規則そのものが無い:作成・届出の義務がある規模なのに未整備で、申請の前提を満たせない。
  • 規則と実態が食い違っている:規則には「週休2日」と書いてあるのに現場は違う、といったズレ。書類審査で矛盾が見つかります。
  • 出勤簿・賃金台帳が整っていない:労働時間や賃金の実績を示せず、要件を満たしていることを証明できない。
  • 残業代の不払いがある:割増賃金の未払いがあると、申請以前に是正の対象になります。

助成金の審査は「書いてあること」だけでなく「実際にそう運用しているか」まで見られます。だからこそ、実態と規則をそろえておくことが重要です。

申請の前に、そろえておきたい書類は?

助成金の審査では、就業規則だけでなく、日々の労務管理の記録もあわせて確認されます。建設業でつまずきやすいのは、現場が忙しく、書類の整備が後回しになりがちな点です。最低限、次のものをそろえておきましょう。

  • 就業規則(作成義務がある場合は届出済みのもの)
  • 労働者名簿(誰を雇っているかの一覧)
  • 出勤簿・タイムカード(労働時間の実績)
  • 賃金台帳(いくら払ったかの記録)
  • 雇用契約書・労働条件通知書(採用時に条件を明示した書類)
  • 36協定(時間外労働をさせる場合の労使協定)

これらは助成金のためだけでなく、労働基準監督署の調査でも見られる基本の書類です。ふだんから整えておくと、いざという時に慌てずに済みます。

建設業で使われる代表的な助成金は?

建設業でよく話題にのぼるのが、有期・パートなどの待遇改善に使うキャリアアップ助成金などです。正社員化や賃金規定の改定といった取り組みが対象になりますが、コースの内容・支給額・要件は改正が多いのが実情です。

金額や細かい要件を、この記事で断定することはできません。最新の内容は、必ず厚生労働省の公式サイトでご確認ください(※2026年7月時点)。

「もらうため」ではなく「体制整備の副産物」と考える

助成金は魅力的ですが、「助成金のためだけに」規則を作ると、実態と食い違って、かえって不支給や返還のリスクを抱えることがあります。

おすすめは、順番を逆にすることです。

  1. まず自社の労働条件を、現場の実態に合わせて整える
  2. その整った体制で、使える助成金があれば申請する

この順番なら、規則と実態がずれにくく、たとえ助成金を受けられなくても「働きやすい会社の土台」は残ります。就業規則の整備そのものについては建設業の就業規則作成のページで詳しくご案内しています。ひな形の危うさが気になる方は、ひな形のままだと危ない5つの落とし穴もあわせてご覧ください。当事務所では、就業規則の作成・改定を顧問の基本料金内で対応しているため、助成金のためだけに慌てて作る必要はありません。あわせて助成金の専門対応部署があり、単発の申請代行ではなく「3年間で自社が使える制度を丸ごと組み立てる」活用プランをご用意しています(不支給だった場合の返金保証つき)。取り逃しに後から気づくのではなく、3年先まで受け取れる分を先に地図にしておく、という進め方です。自社の体制が今どうなっているかは、Zoom30分の無料相談で一緒に確認できます。

参考(一次情報)

よくあるご質問

助成金の種類によります。ただ雇用系の多くは就業規則の整備が前提で、常時10人以上なら作成・届出は義務です。無いまま申請できないケースは少なくありません。
労働基準法上の作成義務は常時10人以上ですが、助成金の要件として求められる場合があります。10人未満でも整備しておくと、選べる制度が広がります。
規則と実際の運用が食い違っている、出勤簿や賃金台帳が整っていない、残業代の不払いがある、といった点が主な原因です。書類と実態の両方が見られます。
有期・パートなどの待遇改善に使うキャリアアップ助成金などが代表例です。金額や要件は改正が多いため、最新は公式サイトでご確認ください(※2026年7月時点)。
きっかけとしては良いですが、目的が助成金だけだと実態と食い違いがちです。体制整備の副産物として捉えると、規則が現場に根づき長続きします。
社会保険労務士 中峯崇文

この記事の執筆・監修:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号採用定着士

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用定着士として採用と定着の設計まで踏み込みます。

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