偽装請負にならないために:建設業の一人親方契約チェックリスト
偽装請負とは、契約は請負でも実態は雇用に近い状態を指します。防ぐには、指示の出し方・時間の拘束・報酬の決め方・道具の負担・専属性という具体的な項目で、自社の運用が請負にふさわしいかを点検することが有効です。雇用に近い項目が多いほど労働者と判断されるリスクが高まるため、チェック結果に応じて契約と実態をそろえていく必要があります。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます契約書は「一人親方」。でも実際は、朝礼で今日の段取りを細かく指示して、8時から17時まで現場に張り付いてもらって、報酬は日数で払っている——。冒頭のこの姿に「うちもこれかも」と思ったなら、この記事はそのためのものです。契約が請負でも、働き方が雇用と変わらなければ「偽装請負」と見なされ、労働者と判断されるリスクがあります。ただ、何が雇用に近いのかは、抽象的な説明だけでは自社に当てはめづらいものです。そこでこの記事は、自社の運用を具体的な項目でその場で点検できるチェックリストにしました。契約と実態のズレという全体像は一人親方と常用従業員が混在する会社が見直すべき契約実態で扱っています。本記事は、その続きとして「自己点検の具体項目」に特化します。

そもそも、偽装請負の何が問題なのですか?
偽装請負とは、契約の形は請負なのに、実態が雇用と変わらない状態のことです。問題は、この状態を放置すると、一人親方が労働者と判断され、労働時間・割増賃金・社会保険などの責任がさかのぼって生じ得ることにあります。
- 制度としては:雇用か請負かは契約名ではなく実態で判断され、実態が雇用に近ければ労働者として扱われます。
- この会社はどう有利になるか:具体的な項目で自己点検できる会社は、雇用に近づいている部分を早めに見つけて手直しできます。
- 社長の毎日はどう変わるか:「調査で指摘されたらどうしよう」という漠然とした不安が、「ここを直せば大丈夫」という具体的な安心に変わります。
以下のチェックは、雇用に近いほど当てはまる項目を並べています。当てはまる数が多いほど、偽装請負と見なされるリスクが高い、という見方をしてください。
チェック1|「指示の出し方」は請負にふさわしいですか?
請負なら、仕事の進め方は一人親方の裁量に任せるのが本来の形です。次の項目に当てはまるほど、雇用に近づきます。
- 作業の手順や段取りを、会社が細かく指示している
- 朝礼で当日の作業内容を会社が割り振っている
- 進め方の裁量が、実質的にほとんど無い
- 会社の指示なしには動けない状態になっている
現場でありがちなのは、「効率を考えて、つい社員と同じように指示してしまう」ことです。指示が細かいほど、請負らしさは薄れます。
チェック2|「時間の拘束」はどうなっていますか?
請負は「仕事の完成」に対する契約なので、本来は時間で縛るものではありません。
- 始業・終業の時刻が会社によって決められている
- 遅刻・早退を会社に届け出るルールになっている
- 現場に「何時から何時まで」拘束されている
- 勤怠を会社が管理している
時間で管理しているほど、働き方は雇用に近づきます。ここは特に見られやすいポイントです。
チェック3|「報酬の決め方」は完成に対する対価ですか?
報酬が「働いた日数・時間」で決まっているか、「仕事の完成」で決まっているかは、請負か雇用かを分ける大きな軸です。
- 報酬が日当・時給のように、日数や時間で決まっている
- 欠勤すると、その分が差し引かれる
- 仕事の出来高や完成物ではなく、拘束時間で払っている
- 残業に相当する上乗せをしている
日数ベースで払い、欠勤で引く運用は、賃金の払い方そのものです。完成に対する対価という請負の性格から離れます。
チェック4|「道具・材料・専属性」はどうですか?
最後は、道具の負担と、他社の仕事を受けられるかどうかです。
-
道具や材料を、会社がすべて用意している
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一人親方が自分の道具・車両を使っていない
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実質的に自社の仕事だけで、他社の仕事を受けられない
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名刺や作業着が、会社の従業員と区別できない
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この会社はどう有利になるか:道具の負担や専属性まで点検できる会社は、請負としての実態を客観的に説明できます。
-
社長の毎日はどう変わるか:「請負って言えるんやろか」という迷いが、項目で確認できる分だけ小さくなります。
チェックが多く付いた会社は、次に何をすればいいですか?
雇用に近い項目がいくつも当てはまったら、方向は二つです。請負として続けるなら、指示や時間の拘束をゆるめ、裁量を持たせて請負らしい働き方に整える。実態がすでに雇用に近いなら、思い切って雇用として就業規則や社会保険の対象に位置づける。どちらつかずのまま続けるのが、いちばんリスクの高い状態です。雇用に切り替えるときは、就業場所や賃金を書いた労働条件通知書を渡すところから始めます(建設業の労働条件通知書・雇用契約書の書き方)。
一人ひとりの立場をどう整理し、就業規則の適用範囲にどう反映するかは、建設業の就業規則作成のページでも考え方を紹介しています。当事務所では、一人親方の契約実態の整理と、雇用に整える場合の就業規則づくりを顧問の基本料金内でサポートしています。「このチェックで雇用寄りの項目が多かった」という方は、Zoom30分の無料相談で、自社の一人親方一人ひとりについて、続けるか整えるかの判断を一緒に進められます。個別の事案で判断が難しい場合は、状況に応じて専門家にご相談ください。
参考(一次情報)
- 労働基準法(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- モデル就業規則について(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
よくあるご質問
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