移動時間で残業45時間を超える現場を、直行直帰で立て直した事例
「会社集合→遠方現場の往復で移動時間が膨らみ、残業を45時間以内に抑えられない」
会社に集合してから遠方現場へ向かう形は、資材の積み込みなどの作業を伴うと移動時間が労働時間になり、残業が膨らみます。積み込み作業を外して現場への直行直帰に切り替えると、作業場から現場までの移動は労働時間から外れ、残業を大幅に短縮できます。ただし残業代が減る分、移動手当や出張手当で補填する設計が必要です。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます朝、会社の資材置き場に全員集合。トラックに道具と材料を積んで、1時間かけて現場へ向かう。夕方は逆の順路で戻り、荷を下ろして解散——建設業ではごく普通の1日です。
しかしこの形、移動の前後に「作業」が挟まっているため、往復の移動時間まで労働時間になります。遠方現場が続けば、それだけで残業は膨らんでいきます。
ご相談の内容
外国人を受け入れている会社からのご相談でした。会社に集合してから遠方の現場に向かうため、往復の移動時間が積み上がり、残業を45時間以内に抑えることが難しいという状態です。
外国人を雇用した場合も、労働時間の管理を含めて法令を守る必要があります。日本人と同じ現場、同じ工程で動いている以上、当然ながら残業の上限も同じように効いてきます。
当事務所の対応
外国人については、現場へ行く際の道具・材料の積み込みと積み下ろしの作業を担当しない形にし、現場への直行直帰を指示していただくようご提案しました。
積み込み作業がなくなれば、その移動は会社の指示による業務ではなく通勤として扱われます。作業場から現場までの移動時間が勤務時間から外れ、結果として残業時間を大幅に短縮できました。
現場に着いてから帰るまでの働き方は何も変えていません。変えたのは、1日の始まりと終わりの動線だけです。
気をつけたいポイント
この切り替えで、実際に次の問題が起きました。移動時間が労働時間から外れたことで、それまで支払われていた残業代が大きく減ったのです。当然、従業員から給与の減額についてクレームが上がります。
そこで、従来の移動時間に対して移動手当や出張手当といった形で給与を補填する対策をご提案しました。会社としては割増賃金より手当のほうが総額を読みやすくなり、本人としては手取りが急に落ちない。ここを設計せずに労働時間だけ削ると、法令は守れても人が辞めます。手当の組み替えを就業規則に反映するときの説明や同意の進め方は手当・日当を下げる就業規則の不利益変更を参考にしてください。
もう一点、外国人の場合は労働条件通知書と実際の支給内容を一致させておくことが重要です。賃金の構成が変わったのに書面が古いままだと、受け入れに関する調査で最も指摘されやすい形になります。就業場所や手当の書き方は建設業の労働条件通知書・雇用契約書の書き方で整理しています。
この整理をすると、社長の何が変わるか
遠方の現場が入るたびに「今月の残業は大丈夫か」と胃が痛くなる状態から抜けられます。移動時間という、現場では1円も生んでいない時間が労働時間から外れるからです。
そして人が減りません。手当で補填する設計をしておけば、法令を守りながら手取りを維持できます。実習生や特定技能の方が「思っていた給料と違う」と感じる瞬間は、失踪や早期離職の入口です。そこを塞げます。
移動時間の判断基準そのものは現場への移動時間は労働時間?建設業の指揮命令下の判断基準に、直行直帰に切り替えるときの規定例と始業・終業の記録の仕方は直行直帰の就業規則・規定例に、遠方現場の手当設計は建設業の出張手当・日当の決め方|遠方現場の設計と旅費規程への落とし込みにまとめています。外国人の受け入れ全体の設計は建設業の外国人雇用サポートをご覧ください。定着の観点は特定技能外国人が定着しない理由と失踪を防ぐ労務管理が参考になります。
よくあるご質問
※ 実際にお受けしたご相談をもとに、事業所が特定されないよう内容を一般化して掲載しています。対応の内容は、会社の規模・契約形態・現場の実態によって変わります。
「うちも、これと同じ状態です」
同じご相談でも、会社の規模と現場の回し方で打ち手は変わります。まずは御社の今の形をお聞かせください。図面を見ずに見積もれないのと同じで、そこからでないと正確なことは申し上げられません。
ご相談で最も多いのは、社長が現場に出ている従業員5〜10人の建設会社さまです。
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