「同等報酬要件」をどう満たすか:建設業の外国人賃金設計の実務
特定技能の外国人報酬は、同一業務の日本人と同等以上にする決まりです。日本人従業員の賃金表と比較して説明できる形に整えることが要点で、日給月給ではとくに割増や手当の基礎をそろえる必要があります。あいまいな設計は是正の対象になり得ます(※2026年7月時点)。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます在留資格の書類をそろえ、あとは賃金の欄を埋めるだけ——そこで手が止まる社長は少なくありません。「日本人の職人も、正直そのときの現場と相場で決めてきた。決まった賃金表なんてない」。そんな会社に、突然「同一業務の日本人と同等以上で」と求められる。何と比べればいいのか、何を書けば通るのかが分からず、去年入れた応援の日当を思い出しながら数字を宙で探す——。この記事では、外国人の報酬を「同等以上」と胸を張って説明できる形にするために、建設業の賃金設計をどう組むのかを、実務の順番でお伝えします。

「同等報酬要件」とは、何を求められているのですか?
特定技能などで外国人を受け入れるとき、報酬は同一の業務に従事する日本人と同等以上にする決まりです。かみくだくと、こういうことです。
- 「外国人だから安く」は認められません。
- 同じ仕事・同じ経験や技能の日本人と比べて、遜色ない、あるいはそれ以上の報酬にする必要があります。
これは単なる書類のルールではなく、受け入れの土台になる考え方です。ここがあいまいだと、後の手続き全体がぐらつきます。まず「うちは日本人と外国人を、どんな理由で、どう並べて説明できるか」を持っておくことが出発点になります。
なぜ建設業で「あいまいな賃金設計」が危ないのですか?
建設業は、賃金の決め方が現場ごと・人ごとになりやすい業種です。だからこそ、外国人の受け入れで「同等」を問われると弱点が出ます。
- 審査の場面で:「同等以上」を客観的に示せないと、受け入れの手続きで説明を求められます。
- 受け入れた後で:あとから「ここが同等でない」と指摘され、賃金の組み直しになると、現場も経理も一気に混乱します。
- 社内の空気として:「あの外国人、俺より給料いいのか」「逆に安く使ってるらしい」——どちらの噂も、根拠のないあいまいさから生まれます。
つまり、賃金設計を整えることは「外国人のため」だけでなく、会社全体の説明力を上げることでもあります。
「同等以上」をどう説明できる形にするのですか?
ポイントは、「感覚」を「基準」に置き換えることです。おおまかな手順はこうです。
- 比較の相手を決める:同じ仕事・同じくらいの経験や技能の日本人従業員を基準にします。
- 賃金表(簡単な等級表)を作る:経験年数や技能レベルに応じて、基本給や手当の目安を整理します。
- 外国人の報酬をその表に当てはめる:「この人は経験3年・この技能だから、この等級」と説明できるようにします。
- 手当や賞与の扱いもそろえる:日本人だけに出している手当がないか、差の理由を説明できるかを点検します。
社内に比較できる日本人がいない場合は、賃金規程や地域・職種の水準をもとに、合理的に説明できる形に整えます。同一労働同一賃金の考え方とも重なる部分があり、建設業と同一労働同一賃金もあわせて参考になります。
ここで一度、社内の職人を思い浮かべてみてください。「勤続10年のあの人」「去年入った若手」「同じ現場に入る外国人」——この3人を、同じ物差しの上に並べて説明できるでしょうか。並べられれば、それがそのまま「同等以上」の根拠になります。並べられないなら、そこが賃金設計の弱点であり、外国人の受け入れは、その弱点を整える良いきっかけにもなります。
日給月給の現場で、同等報酬をどう作り込みますか?
建設業に多い日給月給は、同等報酬の設計でとくに丁寧さが要ります。
- 日給を時間単価に換算し、割増賃金(残業代)の計算基礎をそろえます。
- 欠勤控除の単価と、割増の単価がバラバラにならないようにします。
- 手当が「実費」なのか「賃金」なのかを整理し、比較に含めるかを決めます。
このあたりは日給月給そのものの落とし穴とも直結します。詳しくは建設業の日給月給と賃金設計で触れています。ここを整えると、外国人の同等報酬だけでなく、日本人の残業代トラブルの芽も同時に摘めます。
自社の賃金が「同等以上」と言えるか、どう確認しますか?
まずは1人、モデルになる職人を思い浮かべて、「この人と同じ仕事の外国人を雇うなら、いくらで、なぜその額か」を紙に書けるか試してみてください。すらすら書けないなら、それが賃金表を整えるサインです。
- 仕組みとして:説明できる賃金表があります。
- だから会社は:受け入れの審査でも、社内の説明でも、根拠をもって話せます。
- 社長の毎日は:「あの数字、どう聞かれても答えられる」という安心が残り、賃金の話で言葉に詰まらなくなります。次の候補が来ても、賃金表に当てはめるだけで提示額をその場で即決でき、「いくらにしよう」と持ち帰って悩む時間がなくなります。
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参考(一次情報)
- 特定技能制度(建設分野)(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00003.html
- 特定技能制度(出入国在留管理庁): https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
- 労働基準法(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
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