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「同等報酬要件」をどう満たすか:建設業の外国人賃金設計の実務

テーマ: 建設業の外国人雇用サポート
30秒で結論

特定技能の外国人報酬は、同一業務の日本人と同等以上にする決まりです。日本人従業員の賃金表と比較して説明できる形に整えることが要点です。建設分野の特定技能1号は月給制が条件で、月の額を同じ職種・同じくらいの技能の日本人に実際に払っている1か月あたりの平均的な報酬額と比べます。あいまいな設計は是正の対象になり得ます(※2026年9月時点)。

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在留資格の書類をそろえ、あとは賃金の欄を埋めるだけ——そこで手が止まる社長は少なくありません。「日本人の職人も、正直そのときの現場と相場で決めてきた。決まった賃金表なんてない」。そんな会社に、突然「同一業務の日本人と同等以上で」と求められる。何と比べればいいのか、何を書けば通るのかが分からず、去年入れた応援の日当を思い出しながら数字を宙で探す——。この記事では、外国人の報酬を「同等以上」と胸を張って説明できる形にするために、建設業の賃金設計をどう組むのかを、実務の順番でお伝えします。

二つの給料袋が天秤で釣り合う同等報酬のイメージ図

「同等報酬要件」とは、何を求められているのですか?

特定技能などで外国人を受け入れるとき、報酬は同一の業務に従事する日本人と同等以上にする決まりです。かみくだくと、こういうことです。

  • 「外国人だから安く」は認められません。
  • 同じ仕事・同じ経験や技能の日本人と比べて、遜色ない、あるいはそれ以上の報酬にする必要があります。

これは単なる書類のルールではなく、受け入れの土台になる考え方です。ここがあいまいだと、後の手続き全体がぐらつきます。まず「うちは日本人と外国人を、どんな理由で、どう並べて説明できるか」を持っておくことが出発点になります。

なぜ建設業で「あいまいな賃金設計」が危ないのですか?

建設業は、賃金の決め方が現場ごと・人ごとになりやすい業種です。だからこそ、外国人の受け入れで「同等」を問われると弱点が出ます。

  • 審査の場面で:「同等以上」を客観的に示せないと、受け入れの手続きで説明を求められます。
  • 受け入れた後で:あとから「ここが同等でない」と指摘され、賃金の組み直しになると、現場も経理も一気に混乱します。
  • 社内の空気として:「あの外国人、俺より給料いいのか」「逆に安く使ってるらしい」——どちらの噂も、根拠のないあいまいさから生まれます。

つまり、賃金設計を整えることは「外国人のため」だけでなく、会社全体の説明力を上げることでもあります。

「同等以上」をどう説明できる形にするのですか?

ポイントは、「感覚」を「基準」に置き換えることです。おおまかな手順はこうです。

  1. 比較の相手を決める:同じ仕事・同じくらいの経験や技能の日本人従業員を基準にします。
  2. 賃金表(簡単な等級表)を作る:経験年数や技能レベルに応じて、基本給や手当の目安を整理します。
  3. 外国人の報酬をその表に当てはめる:「この人は経験3年・この技能だから、この等級」と説明できるようにします。
  4. 手当や賞与の扱いもそろえる:日本人だけに出している手当がないか、差の理由を説明できるかを点検します。

社内に比較できる日本人がいない場合は、賃金規程や地域・職種の水準をもとに、合理的に説明できる形に整えます。同一労働同一賃金の考え方とも重なる部分があり、建設業と同一労働同一賃金もあわせて参考になります。

ここで一度、社内の職人を思い浮かべてみてください。「勤続10年のあの人」「去年入った若手」「同じ現場に入る外国人」——この3人を、同じ物差しの上に並べて説明できるでしょうか。並べられれば、それがそのまま「同等以上」の根拠になります。並べられないなら、そこが賃金設計の弱点であり、外国人の受け入れは、その弱点を整える良いきっかけにもなります。

日本人が日給月給の会社では、特定技能の職人の給料をどう決めますか?

建設分野の特定技能1号は、月給制で払うことが受入計画の条件です(※2026年9月時点)。告示357号の「報酬を安定的に支払う」にもとづくもので、国土交通省の運用要領は、会社のほかの職員が月給制でなくても特定技能の職人には月給制で払うよう求めています。日本人の職人が日給月給でも、特定技能の職人だけは月の額で払う、ということです。

確かめること国土交通省のQ&A・運用要領の考え方
何と比べるか基本給と毎月決まって払う手当を合わせた月の額を、同じ職種・同じくらいの技能の日本人に実際に支払われている1か月あたりの平均的な報酬額と比べる
本人都合の欠勤年休を除き、基本給から引いてよい
雨の日・会社都合の休み現場を止めた日を欠勤にはできない。天候を含む使用者の責による休業なら平均賃金の60%以上を払う
昇給最低年1回の定期昇給が必須
技能実習から移った人技能実習のときの報酬額を上回る必要がある

比べる物差しは日本人の職人の月給です。日本人が日給制なら、申請の手引きの式(日給×年間所定労働日数÷12)で月給に直し、あわせて過去1年分の賃金台帳で実際の支給額も確かめます(※2026年9月時点)。雨の日の扱いや昇給の決め方など、月給制の中身は特定技能の月給制ルールで給料日の実務の順に整理しています。

一方で、日本人の職人を日給月給で払い続けるなら、日本人側の賃金表づくりとして、日給を時間単価に直して割増賃金(残業代)の計算基礎をそろえ、欠勤控除の単価と割増の単価がバラバラにならないようにしておくことが大切です。こちらは建設業の日給月給と賃金設計で触れています。日本人側の賃金表が整っていると、特定技能の職人の月の額を決めるときも、比べる相手の数字をすぐに出せます。

自社の賃金が「同等以上」と言えるか、どう確認しますか?

まずは1人、モデルになる職人を思い浮かべて、「この人と同じ仕事の外国人を雇うなら、いくらで、なぜその額か」を紙に書けるか試してみてください。すらすら書けないなら、それが賃金表を整えるサインです。

説明できる賃金表があれば、受け入れの審査でも、社内の説明でも、根拠をもって話せます。「あの数字、どう聞かれても答えられる」という安心が残り、賃金の話で言葉に詰まらなくなります。次の候補が来ても、賃金表に当てはめるだけで提示額をその場で即決でき、「いくらにしよう」と持ち帰って悩む時間がなくなります。

自社の賃金設計を「同等以上」と言い切れる形に整えたい方は、外国人材の受け入れのページもご覧ください。当事務所では、就業規則や賃金規程の整備を顧問の基本料金内で対応しています。Zoom30分の無料相談で、御社の賃金の現状を一緒に点検できます。金額や要件は変わりますので、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください。

参考(一次情報)

よくあるご質問

特定技能などで外国人を受け入れる際、報酬を同一業務に従事する日本人と同等以上にする決まりです。国籍で低く抑えることはできず、日本人と比べて説明できる賃金設計が求められます(※2026年7月時点)。
同じ仕事・同じ経験や技能の日本人従業員の報酬と比較します。社内に比較できる日本人がいない場合は、賃金規程や地域・職種の水準をもとに合理的に説明できる形に整えます。
「同等以上」を客観的に示せないと、受け入れの審査や事後の確認で是正を求められることがあります。あとから賃金の組み直しになると、現場も経理も混乱します。
いいえ。建設分野の特定技能1号は、告示357号の「報酬を安定的に支払う」にもとづき月給制で払うことが受入計画の条件で、日本人の職人が日給月給でも変わりません。比べるのは、基本給と毎月決まって払う手当を合わせた月の額と、同じ職種・同じくらいの技能の日本人に実際に支払われている1か月あたりの平均的な報酬額です(※2026年9月時点)。
これを機に簡単な賃金表を整えるのが近道です。等級と経験に応じた基準を作ると、外国人だけでなく日本人の採用や定着にも役立ちます。
社会保険労務士 中峯崇文

この記事の執筆・監修:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用と定着の設計まで踏み込みます。

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