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解決事例

「年5日の有給、うちの職人は取ってくれない」を解いた方法

テーマ: 建設業の就業規則作成
ご相談

「有給5日取得の義務があるが、対象者全員に取らせるのが難しい」

30秒で結論

年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員には、年5日を確実に取得させる義務があります。職人が自発的に取らない建設業では、お盆休みや年末年始を計画的付与として有給に充てる方法が有効です。ただし計画的付与には労使協定が必要で、もともと会社の休日だった日は年間カレンダーを組み替えて出勤日にしてから有給を充てます。不利益変更だという声が出た会社では、有給を消化した分を特別休暇として別に与えた例もあります。

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「うちの職人は、休めと言っても休まんのですわ」——建設業の社長からいちばんよく返ってくる言葉です。

現場が動いている限り、職人は出てきます。会社としては年5日取らせないと法律違反になる。でも本人は取りたがらない。この板挟みのご相談でした。

ご相談の内容

年次有給休暇が10日以上付与される従業員には、年5日を確実に取得させることが会社の義務です。本人が申し出るのを待つのではなく、取得させる責任が会社側にあります。

しかしこの会社では、対象となる従業員全員に5日ずつ取らせるのは現実的に難しい、というお話でした。現場が動く日は全員出る。手が空く日は、そもそも会社が休みになっている。取得のタイミングが作れない、という状態です。

当事務所の対応

お盆休みと年末年始は、もともと会社の休日でした。従業員の方との話し合いを前提に、年間カレンダーを組み替えてお盆と年末年始の一部を出勤日にし、そこに計画的付与で有給休暇を充てる形をご提案し、年5日の取得を達成しました。

もともと現場が止まる時期です。ここに有給を充てれば、工程に穴を空けずに5日を満たせます。「休みを取らせるために現場を止める」のではなく、すでに止まっている日を使うという発想の転換です。

気をつけたいポイント

この方法には、押さえておくべき条件が2つあります。

1つ目は、手続きです。 会社が有給の取得日を指定する計画的付与という仕組みには、労使協定の締結が必要です。社長が「お盆は有給な」と決めて回覧するだけでは成立しません。また、付与日数のうち5日は従業員が自分の都合で使える分として残しておく必要があります。

2つ目は、従業員の納得です。 もともと休みだった日を出勤日にして有給を充てるので、「休みが減った」「自分の希望した日に有給が取れない」と感じる従業員が出てきます。もっともな反応です。不利益変更だと言う従業員が出た会社では、有給を消化した分を特別休暇として別に与えたところもあります。会社の休みを有給に置き換えた分、別の形で休みを戻す。この一手間があるかどうかで、制度への納得がまったく変わります。

もう一点、日給制の会社で見落とされがちなのが、「有給を取った日も賃金は支払われる」ことが職人に伝わっていないケースです。「休んだら日当が飛ぶ」と思い込んで取らないだけ、ということが実際にあります。日給の職人の有給の日の賃金計算や計画的付与の組み方は日給の職人にも有給は必要?で解説しています。

この整理をすると、社長の何が変わるか

年度末に「あと何日取らせないと」と慌てて数える作業が消えます。年間カレンダーを組んだ時点で、5日は自動的に満たされている状態になるからです。

調査で有給の取得状況を聞かれたときも、「この日とこの日で取得しています」と即答できる。職人から「有給って結局どうなってるんですか」と聞かれても、決めた形がそのまま答えになります。

有給の設計は年間カレンダーと賃金規定の両方に効くので、建設業の就業規則作成の中で一緒に組むのが確実です。日給制ならではの落とし穴は日給月給の建設業、就業規則に絶対入れるべき賃金規定に、規則が実態に合わなくなっている場合の直し方は「就業規則が現状に合っていない」建設業の見直し・改定の進め方と優先順位にまとめています。

よくあるご質問

年次有給休暇が10日以上付与される従業員が対象です。正社員だけでなく、勤続年数と所定労働日数の条件を満たすパートや契約社員も含まれます。対象者に年5日取らせていない場合、会社が是正の対象になります。
計画的付与という仕組みを使えば可能です。ただし労使協定の締結が必要で、会社が一方的に決めることはできません。また、付与日数のうち5日は従業員が自由に使える分として残しておく必要があります。
もともと休日だった日に、そのまま有給を重ねることはできません。年間カレンダーを組み替えて出勤日にしてから、計画的付与で有給を充てます。実質的な休みが減るため、労働条件の不利益変更にあたる可能性がある点にも注意が必要です。
日給制の会社で最も多い悩みです。有給を取った日は賃金が支払われるため、実際には日当は減りません。ここが正しく伝わっていないケースが多く、賃金規定と説明の仕方を整えるだけで取得が進むことがあります。
労働基準法違反として是正指導の対象になります。対象者1人につき罰則が科されうる仕組みで、人数が多いほど負担が大きくなります。年度の途中で残り日数を把握できる管理表を持っておくことが実務上の防波堤になります。

※ 実際にお受けしたご相談をもとに、事業所が特定されないよう内容を一般化して掲載しています。対応の内容は、会社の規模・契約形態・現場の実態によって変わります。

社会保険労務士 中峯崇文

この事例の対応・執筆:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用と定着の設計まで踏み込みます。

「うちも、これと同じ状態です」

同じご相談でも、会社の規模と現場の回し方で打ち手は変わります。まずは御社の今の形をお聞かせください。図面を見ずに見積もれないのと同じで、そこからでないと正確なことは申し上げられません。

ご相談で最も多いのは、社長が現場に出ている従業員5〜10人の建設会社さまです。

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