キャリアアップ助成金 正社員化コース|建設業で職人を正社員にする流れ
キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期契約などで働く人を正社員に転換した事業主が対象です。転換する前にキャリアアップ計画を労働局へ提出し、就業規則に正社員への転換制度を定めておくことが要件で、口頭で登用してしまうと対象から外れます。自社の外注(請負)だった一人親方は、正社員に転換する日の前日から過去3年以内に請負の関係があると対象外で、有期雇用を挟んでも、請負が終わってから正社員にする日まで3年以上あいていることが必要です(令和8年度版・※2026年9月時点)。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます有期契約で入って3年目になる26歳の職人。段取りも覚えたし、若い子の面倒も見るようになった。従業員7人の鉄筋工事の会社の社長は、来月から正社員にしてやろうと決めています。朝礼のあと、「おまえ、来月から正社員な」と肩を叩く——この一言が出た瞬間に、使えたはずの助成金が消えます。
キャリアアップ助成金の正社員化コースは、転換する前に手を打っておかないと使えない制度です。この記事では、契約社員や一人親方あがりの職人を正社員にする場面で、どういう順番で進めればよいかを整理します。

正社員化コースとは、どういう助成金ですか?
有期契約などで働いている労働者を正社員に転換した事業主に対して支給される制度です。国が正社員として働ける人を増やしたいという趣旨のもので、雇用関係助成金の中でも建設業の会社が最も使う機会の多いもののひとつです。
支給額やコースの区分、賃金の増額要件などは年度ごとに見直されるため、この記事では金額を書きません(※2026年7月時点・最新は厚生労働省の公式サイトでご確認ください)。なお、有期で通算5年を超えて雇っている方は無期雇用とみなされ、「無期→正社員」の区分になるため、3年以上5年以下の有期の方とは支給額が変わります(令和8年度版)。ここで押さえていただきたいのは、要件の中身より順番です。
何を、どの順番でやるのですか?
実務では、次の6ステップで進みます。1と2を飛ばすと、その転換は対象になりません。
- キャリアアップ管理者を決める:社内で取り組みを管理する担当者を置きます。小さな会社では社長本人でも構いません。
- キャリアアップ計画を作り、労働局へ提出する:どんな取り組みを、いつからいつまでやるのかを記した計画書です。取り組みを始める前に提出し、認定を受けておく必要があります。
- 就業規則に「正社員への転換制度」を定める:転換の条件・手続き・時期を規定し、届出と周知まで行います。ここが無いまま転換しても、規定にもとづく転換とは言えません。
- 有期契約労働者として一定期間雇用する:転換前に、正社員とは賃金の決め方が違う雇用区分(有期契約など)の就業規則の適用を、通算6か月以上受けて雇われていることが求められます。転換後は雇用保険の被保険者にしておく必要があります(※2026年9月時点・令和8年度版)。
- 就業規則の規定にもとづいて正社員に転換する:労働条件通知書を交付し、転換日を明確にします。賃金は、転換の前後で一定割合以上を増額することが要件とされています(割合は年度で変わります)。
- 転換後6か月分の賃金を支払い、期限内に支給申請する:申請には期限があり、過ぎると受け付けられません。
「来月から正社員な」の一言だけで済ませてしまうと、2も3も5の書面も存在しません。助成金の審査は、社長の善意ではなく書類と実態を見ます。
一人親方を正社員にした場合も、対象になりますか?
自社の外注だった一人親方は、正社員に転換する日の前日から過去3年以内に請負関係があれば、有期雇用を挟んでも対象外です(令和8年度版・※2026年9月時点)。建設業でいちばん質問が多いのがここです。
厚生労働省の案内(令和8年度版)は、対象となる労働者から、転換日の前日から過去3年以内にその会社(親会社・子会社など密接な関係の会社を含む)と請負・委任の関係にあった人を外しています。自社の現場で外注として使っていた親方を有期雇用で6か月雇い、そのあと正社員にしても対象になりません。対象になるのは、請負が終わってから、正社員にする日まで3年以上あいている場合です。
関係のない他社の外注だった人を新しく有期で雇う場合は、この3年ルールには当たりません。ただしその場合も、正社員と賃金の決め方が違う雇用区分で通算6か月以上雇うこと、はじめから正社員にする約束で雇わないこと、などのほかの要件は満たす必要があります。
ですから、自社の親方を社員に切り替える費用を、この助成金で埋める計画は立てないほうが安全です。移行の相談の最初に「この親方は助成金の対象にならない」と分かっていれば、当てにしていたお金が入らずに計画が崩れることはありません。切り替えそのものの進め方(社会保険の加入、増える会社負担の単価・見積への織り込みなど)は一人親方を従業員として雇い直す手順で詳しく扱っています。当事務所では、一人親方から従業員への移行対応を毎月のように扱っています。
建設業でつまずきやすい点はどこですか?
- 就業規則に転換制度の記載がない:ひな形をそのまま使っている会社に多いパターンです(ひな形のままだと危ない5つの落とし穴)。
- 日給月給で、賃金の増額をどう示すか整理できていない:日給の単価だけを上げても、月の稼働日数が変われば比較が成り立ちません。賃金規定の組み立て方は日給月給の建設業の賃金規定を参照してください。
- 出勤簿がない・現場ごとにバラバラ:転換前後の労働時間と賃金を証明できません。
- 社会保険・雇用保険の加入がずれている:資格取得の日付と雇用契約の開始日が食い違うと、審査で照会が入ります。
- 正社員側の制度が就業規則に定まっていない:昇給や賞与・退職金といった、正社員としての処遇が規定されていることを求められます(※2026年7月時点)。
- 転換の書面がない:口約束で登用してしまい、いつ正社員になったのかを示す書類がない。
どれも「助成金のための特別な準備」ではなく、労務の土台そのものです。だからこそ、助成金が不支給になるパターンは制度が変わっても同じ顔ぶれになります。
正社員にすると、会社はどう変わりますか?
就業規則に転換制度を持ち、計画届を先に出しておけば、登用のたびに助成の対象になり得ます。1人限りの話ではありません。
求人票にも「正社員登用制度あり」と実態をともなって書けます。社会保険の加入状況もそろうため、元請からの加入確認にもそのまま答えられます。
3年目の職人に「来月から正社員な」と伝える場面が、肩を叩く一言ではなく、労働条件通知書を渡して条件を説明する時間に変わります。本人は家に持ち帰って家族に見せられる。辞める理由が一つ減り、採り直す手間も減ります。
次の登用に間に合わせるには、いつ動きますか?
すでに正社員にしてしまった分は、残念ながら取り戻せません。ただ、次の1人には間に合います。来期に登用しそうな人が1人でも思い浮かぶなら、その時点でキャリアアップ計画と就業規則の整備を始めれば、順番は正しく組み直せます。誰をいつ登用するかを年間の計画に落とす考え方は助成金の年間活用計画にまとめました。
当事務所は建設業に特化し、助成金の専門対応部署を置いています。キャリアアップ計画の作成・提出、就業規則への転換制度の追加、転換時の書面整備、支給申請までを一括して進められます。費用は顧問料とは別枠の助成金プラン(3年契約・人数別の月額)で、3年間続けた場合にお支払いの合計(基本料金+助成金プラン料金)が受給額を上回れば差額を返金します(返金保証。※2026年10月時点・詳細は料金ページ)。サポートの全体像は建設業の助成金サポートをご覧ください。
「うちの◯◯を来年正社員にしたい」——その一言からで構いません。Zoom30分の無料相談で、必要な順番を一緒に組み立てられます。要件・支給額は年度で変わりますので、申請の際は必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。
参考(一次情報)
- キャリアアップ助成金(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118801_00013.html
- キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001687992.pdf
- 事業主の方のための雇用関係助成金(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html
- モデル就業規則について(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
よくあるご質問
「うちに使える助成金、眠っていませんか?」
当事務所の助成金プランは人数別の月額(3年契約)で、返金保証が付いています。御社の採用予定を伺い、「使える制度があるか」の調査からZoom30分・無料でご相談いただけます。
ご相談で最も多いのは、社長が現場に出ている従業員5〜10人の建設会社さまです。
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