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外国人向け就業規則・雇用契約書の作り方:建設業の記載事項

テーマ: 建設業の外国人雇用サポート
30秒で結論

外国人を雇う建設会社は、平易な日本語での雇用契約書と母国語での説明、賃金・労働時間・休業の扱いを明記した就業規則の整備が重要です。就業規則は常時10人以上で作成義務があり、建設業では天候休業や移動時間など現場特有の項目を落とさないことが要点です(※2026年7月時点)。

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入社初日、外国人の職人に契約書を渡す。日本語がびっしり並んだ紙を、彼は少し困った顔で見つめ、それでも「ダイジョウブ、ダイジョウブ」とうなずいてサインする——。そのうなずきを「理解した」と受け取ってしまうと、数か月後に「残業代の計算が違う」「雨の日の給料の話は聞いていない」といったすれ違いが表に出てきます。悪気があったわけではなく、そもそも「伝わっていなかった」だけ。これは契約書と就業規則の作り方で、かなり防げます。この記事では、外国人を雇う建設会社が、契約書と就業規則をどう整えればトラブルを避けられるのかを、記載事項までまとめてお伝えします。

外国人職人と社長が就業規則の冊子を一緒に読むイメージ図

外国人を雇うとき、就業規則や契約書は何が違うのですか?

守るべき労働法のルールは、日本人でも外国人でも基本は同じです。違うのは「伝わり方」です。

  • 労働条件(賃金・労働時間・休日・休業の扱いなど)を、平易な日本語で示す。
  • そのうえで、本人が理解できるよう母国語での説明を添える。
  • 特定技能では、契約書と雇用条件書そのものを本人が十分に理解できる言語で作る。これは入管庁の運用要領が求める条件で、本人が内容を理解したうえで署名していることが必要です(母国語に限らず、内容を余すことなく理解できる言語。※2026年9月時点)。建設分野では、契約を結ぶまでに重要事項を本人が理解できる言語の書面で説明することも求められます。

「サインした=理解した」ではありません。理解のずれは、そのまま将来のトラブルの種になります。だからこそ、外国人雇用では「書いてあるか」だけでなく「伝わっているか」までを設計します。契約と実態がずれると危ないのは、日本人向けのひな形でも同じで、その典型はひな形のままだと危ない5つの落とし穴にまとめています。

「平易な日本語」「母国語での説明」は、なぜ大事なのですか?

現場の場面で考えると、必要性がはっきりします。

  • 休憩や残業のルールが伝わっていないと、「言った・聞いていない」の水掛け論になります。
  • 賃金の締め日や控除の仕組みが分からないと、初回の給料日に「思っていた額と違う」と不信が生まれます。寮費などを給料から差し引くなら、労使協定で控除のルールを先に決めておきます(作業着代の天引き・壊した工具の弁償は給料から引ける?)。

本人が理解できる形で条件を示しておけば、「知らなかった」を理由にした食い違いを、入口で減らせます。現場でも、外国人の職人と余計な誤解なしに指示を出し合えます。信頼は、最初の説明のていねいさから育ちます。

建設業の外国人契約で、特に落としがちな記載事項は?

一般的なひな形だと、建設現場ならではの項目が抜けがちです。外国人相手だと、その抜けがそのまま誤解になります。まず押さえたいのは、給料の払い方が在留資格で変わることです。

在留資格給料の払い方雨や会社の都合で現場を止めた日
特定技能(建設分野)月給制が受入れの条件。日本人の職人が日給月給でも、特定技能の職人は月給制欠勤として引けない。天候による休業も含め、使用者の責任による休業なら平均賃金の60%以上を払う
技能実習(技能実習計画の業種が建設業)同じく月給制が条件。ほかの職員が月給制でなくても月給制同上
永住者・定住者・日本人の配偶者等月給制の縛りはなく、日本人と同じく日給月給でも雇える日本人の職人と同じ扱い

(※2026年9月時点。特定技能・技能実習の月給制は、法務省・国土交通省などの運用要領による)

そのうえで、特に次の点は明記しておきたいところです。

  • 天候休業の日の扱い:雨で現場が止まった日をどう扱うか(下で詳しく)。
  • 移動時間・集合時間:どこからが労働時間か。直行直帰の日との違い。
  • 月給制の払い方と残業計算:特定技能・技能実習の職人は、基本給と毎月決まって払う手当を1か月単位の額で決め、その月給を1か月平均の所定労働時間で割って時間単価を出し、残業の割増を足します。祝日や連休で出勤日が少ない月も、1か月単位の額で払います(額の決め方は → 同等報酬要件をどう満たすか)。永住者などを日給月給で雇う場合は、日給を時間単価にどう換算し、割増をどう出すかを書いておきます。
  • 社会保険・労働保険の説明:加入の内容と、給料からの控除。
  • 業務内容と現場の範囲:どんな作業をするか、危険を伴う作業の安全ルール(就業場所の書き方は建設業の労働条件通知書・雇用契約書の書き方)。

これらは「日本人にとっては当たり前」でも、外国人には初めての話です。書いて、説明して、はじめて共有されます。

たとえば「雨で現場が流れた日」。日本人の日給の職人なら「今日はしゃあないな」で通じる場面でも、特定技能や技能実習の職人は、その日を欠勤として給料から引くことができません。雨や会社の都合で現場を止めた日は、天候による休業も含め、使用者の責任による休業なら平均賃金の60%以上の休業手当を払い、本人から申し出があれば年次有給休暇にする。この扱いを契約書と就業規則(賃金規程)にあらかじめ書き、入社時に本人が分かる言葉で説明しておきます。出面表(日々の出勤の記録)でも、本人都合の欠勤と、雨・会社都合の休みを別の記号で付けておくと、日本人と同じ感覚で雨の日まで欠勤控除してしまう失敗を防げます。月給制の中身や昇給のルールは特定技能の職人は日給月給にできない?で詳しく解説しています。書いて、説明して、記録を分けておく。それだけで、後日の「聞いていない」が「知っています」に変わります。小さな一手間が、現場の空気を守ります。

トラブルを防ぐ契約書・就業規則は、会社に何をもたらしますか?

書類を整えることは、守りだけの話ではありません。

現場の実態に合った就業規則と、理解された契約書。就業規則は常時10人以上の事業場で作成・届出の義務があり、10人未満でも周知すれば効力があります(※2026年7月時点)。この2つがそろっていれば、賃金や休業のトラブルが起きにくくなり、いざ何かあっても「決めてある」ものが会社を守ります。

それだけでなく、「あの説明、ちゃんとしたっけ」という後ろめたさが消え、外国人も日本人も同じルールで気持ちよく働ける現場になります。

なお、当事務所では就業規則の作成・改定を顧問の基本料金内で対応しています(※2026年7月時点)。

自社の契約書・就業規則を外国人対応にするには?

まずは、いまの契約書と就業規則を1枚ずつ広げて、「天候休業」「移動時間」「月給制の払い方と残業」「社会保険」の4点が、外国人にも分かる言葉で書いてあるかを確認してみてください。ここが空欄やあいまいなら、外国人対応への入口です。

自社の書類を「伝わる・守れる」形に整えたい方は、外国人材の受け入れのページもご覧ください。受け入れ後の届出の話は外国人雇用状況の届出とは?もあわせて参考になります。Zoom30分の無料相談で、御社の契約書と就業規則を一緒に点検できます。運用の細部は変わりますので、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください。

参考(一次情報)

よくあるご質問

基本のルールは同じですが、労働条件を平易な日本語で示し、母国語でも説明して本人が理解できる状態にすることが特に大切です。理解のずれが後のトラブルの原因になります。
在留資格で変わります。特定技能では、雇用契約書と雇用条件書を本人が十分に理解できる言語(母国語に限らず、内容を余すことなく理解できる言語)で作り、内容を理解したうえで署名してもらう必要があり、国が翻訳した様式もあります。建設分野では、契約を結ぶまでに重要事項を本人が理解できる言語の書面で説明することも条件です。それ以外の在留資格では法律上の義務ではなく、母国語や平易な日本語など本人が理解できる方法で示すよう努めることとされています(※2026年9月時点)。
常時10人以上の従業員がいる事業場は作成と届出の義務があります。10人未満でも、周知すれば効力があり、外国人を雇うならルールを明文化しておくと安心です(※2026年7月時点)。
天候休業の日の扱い、移動時間、給料の払い方と残業計算、社会保険の説明などです。特定技能と技能実習(建設業)の職人は月給制が受入れの条件で、雨や会社の都合で現場を止めた日を欠勤として給料から引けません(※2026年9月時点)。日本人向けの日給月給のひな形のままだと、ここが制度とも現場とも合わず誤解を生みます。
当事務所では就業規則の作成・改定を顧問の基本料金内で対応しています(※2026年7月時点)。
社会保険労務士 中峯崇文

この記事の執筆・監修:中峯 崇文(社会保険労務士)

中峯社労士事務所 代表|社会保険労務士 登録番号 第27110112号

建設業に特化した社会保険労務士として、残業対応や一人親方の移行など、現場の労務を毎月扱っています。外国人雇用では自ら監理団体を立ち上げて運営し、採用と定着の設計まで踏み込みます。

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