監理団体の役員が見た、建設業の外国人雇用でつまずきやすいポイント
建設業の外国人雇用でつまずく会社には共通点があります。賃金設定の曖昧さ、労働時間・残業管理のゆるさ、住居や生活支援の想定不足、安全教育と言葉の壁、入社後の手続きの抜けなどです。根っこは「雇うまでの手続き」で力尽き「雇った後の労務」が後回しになること。入社後の体制づくりが鍵です。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます従業員8人の鉄筋工事会社が、外国人材を2人受け入れて半年。現場では真面目に働いてくれているのに、ある日「先月の残業代、計算が合っていない気がします」と本人から言われる。給与明細を見返しても、なぜその金額なのかを社長自身が説明できない——。建設業の外国人雇用でつまずく会社には、いくつかの共通した傾向があります。結論から言うと、多くは「雇うまでの手続き」に力を使い切ってしまい、「雇った後の労務」が後回しになっていることが原因です。
筆者(当事務所の代表・中峯)は、監理団体を自ら立ち上げて運営してきた経験があり、現在も大阪・東京の監理団体や登録支援機関を支援しています。受け入れる会社の側と、受け入れを管理する側の両方から現場を見てきた立場で、よくあるつまずきを傾向として整理します。

そもそも、なぜ外国人雇用でつまずくのですか?
外国人材の受け入れは、大きく「雇うまで」と「雇った後」の2つの段階に分かれます。
多くの会社は、在留資格の取得など**「雇うまで」の手続きに大きな労力を注ぎます**。慣れない書類、専門家とのやりとり、受け入れ準備——ここを乗り越えたところで、いったん力尽きてしまうのです。
その結果、本当に大事な**「雇った後」の労務管理が後回し**になります。雇用契約、給与、社会保険、日々の労働時間の管理。こうした地道な部分が抜けたまま受け入れが始まり、後になってトラブルとして表面化する。これが、つまずきの最も大きな根っこです。
以下では、現場でよく見られるつまずきを5つ、傾向として紹介します(特定の会社や団体の事例ではなく、あくまで一般的な傾向です)。
つまずき① 賃金設定が曖昧になっていませんか?
もっとも多いのが、賃金の曖昧さです。
外国人材の賃金は、同じ仕事をする日本人と同等以上であることが求められます。しかし現場では、
- 基本給や手当の内訳を明確に説明できない
- なぜその金額なのか、根拠が整理されていない
- 残業代の計算方法があいまい
といったケースが見られます。賃金の説明がつかない状態は、受け入れの審査や更新の場面で問題になりやすく、何より働く本人の不信につながります。
つまずき② 労働時間・残業の管理がゆるくなっていませんか?
建設業は現場ごとに始業・終業が変わり、労働時間の管理が複雑になりがちです。
- タイムカードや勤怠記録が現場任せになっている
- 残業時間が正確に把握できていない
- 休日出勤の扱いがあいまい
こうした「ゆるさ」は、日本人従業員に対しても本来は問題ですが、外国人材が加わると一層リスクが高まります。記録が残っていなければ、いざというときに会社を守ることもできません。
つまずき③ 住居や生活のサポートを想定できていますか?
見落とされやすいのが、仕事以外の生活面の支援です。
住まいの確保、家賃や公共料金の説明、ゴミ出しや近隣とのルール、銀行口座や病院のこと——日本での生活そのものが初めての人を受け入れる、という視点が抜けていると、入社後の早い段階でつまずきます。
生活が安定しないと、仕事にも集中できません。ここを「本人任せ」にしてしまう会社は、定着率が下がりやすい傾向があります。
つまずき④ 安全教育は「言葉の壁」を越えて伝わっていますか?
建設現場では、安全教育が命を守る土台になります。
ところが、日本語での説明や書面を渡すだけで「伝えたつもり」になってしまうことが少なくありません。作業手順や危険箇所の指示が正確に伝わらなければ、労働災害のリスクが直接的に高まります。
- やさしい日本語や母国語の資料を用意する
- 実演やイラストで示す
- 「伝わったか」を必ず確認する
言葉の壁を前提にした安全教育の設計が欠かせません。
つまずき⑤ 入社後の手続き・書類に抜けはありませんか?
雇用契約書、労働条件通知書、社会保険・雇用保険の加入手続き、ハローワークへの外国人雇用状況の届出——入社に伴う手続きは日本人と同じか、それ以上に丁寧さが求められます。
「雇うまで」で力尽きた会社ほど、この入社後の書類がどこかで抜け落ちます。手続きの抜けは、後から遡って対応することになり、余計な手間とコストを生みます。
つまずきを防ぐには、どうすればいいですか?
5つのつまずきに共通するのは、「雇った後の労務」を軽く見てしまうことです。逆に言えば、ここを受け入れ前から整えておけば、多くのトラブルは防げます。
- 賃金の根拠を、日本人との比較も含めて整理しておく
- 労働時間・残業・休日の記録の仕組みを作っておく
- 就業規則を実態に合わせて整えておく
- 生活支援と安全教育の段取りを決めておく
なお、監理団体は受け入れの適正化を担う存在ですが、個々の会社の賃金設計や社会保険の手続きまで代わりに行うわけではありません。労務は、会社自身が整える必要があります。建設業の外国人雇用サポートでは、この「雇った後」の体制づくりを専門に支援しています。受け入れを検討し始めた段階で、労務の土台を一緒に固めておくことをおすすめします。当事務所の代表は、監理団体を自ら立ち上げ・運営し、今も大阪・東京の監理団体や登録支援機関を支援している立場から、自社の受け入れ体制をご一緒に点検できます。気になる点は、Zoom30分の無料相談で整理してみてください。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
よくあるご質問
「うちの場合、費用と体制はどうなる?」
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