育成就労の建設分野ルールとは?転籍制限2年・2年目の昇給・人数枠と賃金規程の書き方
育成就労制度は2027年4月1日に始まり、建設分野の転籍制限期間は2年です。2年を選ぶ会社は、所定内賃金を1年目から2年目に協議会が公表する昇給率(未公表)以上に上げる必要があります。日本人と同等以上の報酬の安定的な支払い(国の資料では月給制)、常勤職員1〜9人ならその人数までの受入れ上限なども条件です(※2026年9月時点)。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます従業員7人の型枠工事会社。日本人の職人と事務が5人、技能実習生が2人。実習生の2人は、いまや現場の主力です。ところが元請けの担当者から「2027年から制度が変わって、本人の希望で他所へ移れるようになるらしい」と聞かされ、社長の手が止まります。3年かけて仕込んだ職人が、ある日「別の会社に行きます」と言う——その可能性が、制度として正面から認められる。それが、技能実習制度に代わって2027年4月1日に始まる「育成就労制度」です。建設分野では、本人の意向で会社を移れるようになるまでの期間(転籍制限期間)が2年と決まりました。そのかわり受け入れる会社には、1年目から2年目への昇給、日本人と同等以上の報酬を安定的に払うこと、受入れ人数の上限など、建設分野で決められた条件が加わります(※2026年9月時点)。なお、いまいる2人は2027年4月以降も「技能実習」のまま実習を続けられ、この記事で扱う本人の意向による転籍は、育成就労で受け入れた人の仕組みです。社長が備えるべきなのは、次に育成就労で受け入れる人からです。この記事では、その条件を1枚の表にまとめ、賃金規程と昇給表にどう書けばよいかまでお伝えします。

育成就労制度とは?建設業には、どんな条件が加わりますか?
育成就労制度は2027年4月1日に始まる外国人の受入れの仕組みで、建設分野では、分野別運用方針と国土交通省の告示によって、建設業許可・CCUS登録・協議会への加入・直接雇用・日本人と同等以上の報酬の安定的な支払い・2年目の昇給・受入れ人数の上限といった条件が加わります(※2026年9月時点)。
技能実習制度は「技能移転による国際貢献」を目的にしていました。育成就労制度はこれを発展的に解消し、人手不足の分野で「人材を育成し、確保する」ことを目的に掲げます。育成就労の期間は3年以内で、その間に特定技能1号へ移れる水準まで育てることが目標です。建設分野なら、型枠工事の職人は技能検定3級(型枠施工)など、日本語は国の物差し(日本語教育の参照枠)でA2.2相当以上が目安になります。A2.2は参照枠の「A2」と同じ段階で、仕事や買い物など身近な場面でよく使われる文や表現が理解できる水準です。
ここまでに決まったことを、日付の順に並べると次のとおりです。
| 時期 | 決まったこと |
|---|---|
| 2024年6月 | 育成就労制度をつくる改正法が成立(14日)・公布(21日) |
| 2025年3月11日 | 制度全体の基本方針を閣議決定 |
| 2026年1月23日 | 建設を含む分野別運用方針を閣議決定(転籍制限2年・2年目の昇給・人数の上限など) |
| 2026年6月23日 | 国土交通省が建設分野の上乗せ基準を告示。建設分野育成就労協議会の第1回 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度が始まり、建設分野の上乗せ基準も適用 |
建設分野で加わる条件を1枚にまとめると、次のようになります。
| 条件 | 中身 | 今のうちに確かめること |
|---|---|---|
| 建設業許可 | 建設業法第3条の許可を受けていること。建設業法の監督処分を受けてから5年たたない会社は受け入れられない(一部の処分を除く) | 許可の業種と有効期限 |
| CCUS登録 | 会社と育成就労の外国人の両方を、建設キャリアアップシステム(技能者や建設業者の情報を登録・蓄積する仕組み)に登録する | 事業者登録が済んでいるか |
| 協議会への加入 | 国土交通省の建設分野育成就労協議会に加入する。JAC(建設技能人材機構)や、JACを構成する建設業者団体に所属していれば加入したものとみなされる | JACに所属しているか(加入の手続きは国交省のページに追って掲載) |
| 直接雇用 | 自社が雇用契約を結ぶ形に限る。派遣の形では受け入れられない | 雇用契約を自社で結べるか |
| 報酬 | 同じ業務をする日本人と同等額以上を安定的に払い、就労期間に応じて昇給する | 比べる日本人の賃金と、月給制かどうか |
| 転籍制限 | 本人の意向による転籍は、同じ会社で2年を超えて働いてから(会社の判断で1年も選べる) | 2年と1年のどちらにするか |
| 2年目の昇給 | 2年を選んだ会社は、所定内賃金を1年目から2年目に協議会の昇給率以上に上げる | 昇給表があるか |
| 受入れ人数 | 常勤職員(育成就労・1号特定技能・技能実習の外国人などを除く)の数まで。10〜30人の会社は9人まで | 常勤職員が何人いるか |
| 説明と安全 | 雇用契約の大事な点を、本人が十分に理解できる言葉で説明する。入国後の講習で労働安全衛生の講習を受けさせる | 母国語で渡せる契約書類 |
このほか、下請として入る現場では元請の指導に従うこと、国土交通省の調査や指導に協力することも求められます。JACの会費や受入負担金はJAC(建設技能人材機構)とはで、いま技能実習生がいる会社の切替の期限は技能実習から育成就労への切替で解説しています。
表のうち、許可やCCUSは「あるか、ないか」で決まります。これに対して報酬・昇給・人数は、社長が「どう決めるか」で中身が変わり、2年後に人が残るかどうかを左右します。ここから先は、転籍のルールと、この3つの決め方を順に見ていきます。
建設分野の転籍制限は何年ですか?2年たったら辞められてしまいますか?
建設分野の転籍制限期間は2年で、本人の意向で別の会社へ移れるのは、同じ会社で2年を超えて働いてからです(※2026年9月時点)。
国が建設分野を2年とした理由は、分野別運用方針に次のように書かれています。
- 必要な技能を身につけるのに相応の時間がかかる
- 工事の期間が1年を超えることもある
- 地方は都市部より離職率が高く、地方での定着を促す必要がある
- 外国人の労働災害の発生率がほかの産業より高く、安全衛生の教育に一定の時間をかける必要がある
ただし、2年は「当面」の期間です。制度全体の基本方針は1年とすることを目指しており、協議会の行動規範でも、受け入れる会社は1年を目指す取組に協力するよう求められています。
では、2年を超えたらすぐに辞められてしまうのか。そうではありません。本人の意向で転籍するには、次の条件がすべてそろう必要があります。
- 同じ会社で2年を超えて働いている
- 技能の試験に合格している(型枠工事なら技能検定基礎級(型枠施工)など)
- 日本語の試験で、日本語教育の参照枠のA2.1相当以上に合格している(A2.1は、基本的な日常表現が使えるA1を超え、A2.2に向けて学習が進んでいる段階)
- 移る先が同じ業務区分の中である(建設分野は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分)
- 移る先の会社も受入れの条件を満たしている(たとえば、本人の意向で移ってきた人が、その会社の育成就労の外国人の3分の1を超えないこと)
本人の意向による転籍で移る先を紹介できるのは、監理支援機関(いまの監理団体に代わる組織)や外国人育成就労機構(いまの外国人技能実習機構に代わって設けられる機関)、ハローワークなどに限られ、民間の人材紹介会社などを通じた転籍は認められていません。一方で、暴行やハラスメント、重大で悪質な法令違反・契約違反があった場合などは「やむを得ない事情」として、2年を待たずに転籍が認められます。また、転籍に必要な試験を受けさせない、転籍を申し出た人を解雇するといった引き留め方は禁止されています。
育てた費用はどうなるのか。本人の意向で転籍された場合、転籍先の会社が転籍元の会社へ、受入れと育成にかかった費用の一部を払う仕組みがあります。国が告示で決める額に、転籍元で働いた期間に応じた割合を掛けた額です(千円未満は切り捨て)。
| 転籍元で働いた期間 | 掛ける割合 |
|---|---|
| 1年以上1年6か月未満 | 6分の5 |
| 1年6か月以上2年未満 | 3分の2 |
| 2年以上2年6か月未満 | 2分の1 |
| 2年6か月以上 | 4分の1 |
転籍制限が2年の会社から本人の意向で移るのは2年を超えてからなので、当てはまるのは下の2段です。長く育てた会社ほど、転籍元が受け取れる割合は小さくなります。つまり、費用で引き留める仕組みではありません。2年目の春に本人が「この会社に残る」と決める理由を、給料と育て方で先に用意しておくことが、いちばん確かな引き留めになります。
1年目から2年目の昇給は、いくら上げればいいですか?
転籍制限を2年にする会社は、育成就労の外国人の所定内賃金を1年目から2年目にかけて、建設分野育成就労協議会が毎年公表する昇給率以上に上げなければなりません。ただし2026年9月時点で、その昇給率はまだ公表されていません。
昇給率は、協議会が「建設業の前年の平均賃金の上昇率」を基準に毎年決めて公表します。比べる対象の「所定内賃金」は、建設分野の運用方針には定義がありませんが、育成就労制度運用要領(送出機関に払う費用の上限を計算する箇所)に定義があります。就業規則などであらかじめ決まった条件で払う給与のうち、時間外手当・早朝出勤手当・休日出勤手当・深夜手当などを除いたものです。国の雇用条件書の様式では、基本賃金に通勤手当・精皆勤手当などの諸手当を加えた金額が所定内賃金になります。つまり、毎月決まって払う給料から、残業・休日出勤・深夜の分を除いた額と考えておけば準備を進められます。
基本給だけでなく、毎月決まった額の手当も所定内賃金に入る点に気をつけてください。たとえば基本給220,000円に通勤手当10,000円を払っている人の所定内賃金は230,000円です。基本給だけを5%上げて手当を据え置くと、所定内賃金で見た上げ幅は約4.8%になり、基本給の率より小さくなります。昇給率と比べるときは、手当を含めた額で計算しておくのが安全です。
昇給率が公表されたときにどれだけ上げることになるか、仮の率で当てはめると次のとおりです。
| 1年目の所定内賃金(月額) | 昇給率が仮に3%なら | 仮に5%なら |
|---|---|---|
| 200,000円 | 6,000円以上(2年目206,000円以上) | 10,000円以上(2年目210,000円以上) |
| 220,000円 | 6,600円以上(2年目226,600円以上) | 11,000円以上(2年目231,000円以上) |
| 250,000円 | 7,500円以上(2年目257,500円以上) | 12,500円以上(2年目262,500円以上) |
3%・5%は計算のための仮の数字です。実際は協議会が公表する率を当てはめます。どの年に公表された率を使うか、いつの時点の賃金で比べるかといった細かな決まりは、2026年9月時点では国の資料にまだ示されていません(建設分野の運用要領は「準備中」)。昇給表には「協議会が公表する率以上」と書いておき、数字は公表後に確かめ直せる形にしておくのが実務的です。
1年を選べば、昇給はいらないのですか? 会社の判断で、転籍制限期間を1年にすることもできます。その場合、協議会の昇給率による昇給の義務はかかりません。ただし、次の2点に注意が必要です。
- 就労期間に応じた昇給そのものは、1年を選んでも必要です。建設分野の条件に「就労期間に応じた昇給」が入っており、運用要領も2年目・3年目の賃金を前年より上げることなどを求めています
- 人によって1年と2年を使い分けることは、不当な取扱いに当たります
つまり、1年を選んでも2年を選んでも、昇給表は要ります。違いは「協議会の率を下回れない約束をするか」と「1年で移られる可能性を受け入れるか」です。
昇給率を高めにしておくことには、別の効き目もあります。「優良な育成就労実施者」の審査では、2年目・3年目の基本給の昇給率がどちらも5%以上なら2点、8%以上なら4点が加わります。優良と認められると、後で見る受入れ人数の上限が広がります。
2年目の最初の給料日に、明細の数字が約束どおり上がっている。その1行が、本人が「この会社で3級まで取ろう」と決めるきっかけになります。
「日本人と同等以上を安定的に」とは?日給月給のままでもいいですか?
建設分野の育成就労では、同じ業務をする日本人と同等額以上の報酬を「安定的に」払うことが条件で、国土交通省の資料はこれを「月給制」と整理しています。雨や工事の都合で月の給料が上下する日給月給のままにせず、月給制で決めておくのが基本です(※2026年9月時点)。
分野別運用方針は、この条件を置いた理由として、建設業には「季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動するという実態」があると書いています。協議会の行動規範も、同じ技能の日本人と同等の報酬を「月給制・固定給の設定などの方法によって確実に支払う」ことを求めています。
育成就労の月給制の細かな扱いを定める建設分野の運用要領は、2026年9月時点で「準備中」です。参考になるのが、先に月給制が求められている建設分野の特定技能です。国土交通省のQ&Aでは、本人の都合による欠勤(年次有給休暇を除く)の分は差し引いてよい一方で、会社の都合や天候を理由に現場を中止した日を欠勤として扱うことは認められないとされています。育成就労の賃金規程も、同じ考え方で作っておくのが安全です。特定技能の月給制のくわしいルールは特定技能の職人は日給月給にできない?で解説しています。
「同等額以上」の比べ方と、報酬に入るものは次のとおりです(運用要領)。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 比べる相手 | 同じくらいの技能の日本人。いなければ、賃金規程がある会社は規程の中の位置づけで、ない会社は仕事の中身や責任が最も近い日本人と比べて説明する |
| 報酬に入るもの | 基本給、賞与、精皆勤手当・職務手当・危険作業手当など、出勤や仕事の中身に応じて払う手当 |
| 報酬に入らないもの | 通勤手当・住宅手当など、実費を補う性格のもの(課税されるものを除く) |
| 下げてはいけない理由 | 技能検定の受験料や、監理支援機関に払う費用がかかることを理由に、報酬を低くすることは許されない |
同等報酬の組み立て方は同等報酬要件をどう満たすかでもくわしく扱っています。
雨が3日続いた月も、給料日の額は変わらない。本人にとっては、毎月の暮らしの見通しが立つということです。その安定が、転籍できる時期が来たときに「移らない」と決める理由になります。
受け入れられる人数は何人まで?常勤職員はどう数えますか?
建設分野の育成就労(監理型)で同時に受け入れられるのは、常勤職員が1〜9人の会社ならその人数と同じ数まで、10〜30人の会社なら9人までです(※2026年9月時点)。
監理型は、監理支援機関の支援を受けて受け入れる形です。国土交通省の告示が定める上限は次のとおりです。
| 常勤職員の数 | 受け入れられる上限 | 優良な育成就労実施者なら |
|---|---|---|
| 1人 | 1人 | 4人 |
| 2人 | 2人 | 7人 |
| 3人 | 3人 | 10人 |
| 4人 | 4人 | 12人 |
| 5人 | 5人 | 15人 |
| 6〜9人 | 常勤職員と同じ数 | 18人 |
| 10〜30人 | 9人 | 18人 |
| 31〜40人 | 12人 | 24人 |
| 41〜50人 | 15人 | 30人 |
この上限は、1年目から3年目までの育成就労の外国人を合わせた数に対するものです。常勤職員の数え方には、次の決まりがあります(運用要領)。
- 正社員と同じように継続して働く人を数えます。日給か月給かは問いません。目安は「週5日以上・年217日以上・週30時間以上」、または「雇用保険に入っていて週30時間以上」です
- 社長や取締役などの役員は、原則として数えません(取締役部長のように、社員として給料を受けている人は数えられます)
- 派遣で来ている人は数えません。常勤職員は会社に雇われている人のことなので、請負で入る一人親方や応援の職人も数に入りません
- 育成就労・1号特定技能・技能実習の外国人は数えません。特定技能2号の職人など、それ以外の外国人の社員は、常勤の目安を満たせば数えます
- 本社・支店を合わせた会社全体で数えます
冒頭の型枠工事会社で数えてみます。日本人の5人が全員、雇用保険に入って週30時間以上働いていれば、常勤職員は5人で、上限は5人です。2人の技能実習生が2027年4月以降も1号・2号の実習を続けている場合、この2人は育成就労の人数として数えるため、新しく受け入れられるのはあと3人になります(3号の実習生なら数えません)。特定技能1号で受け入れる場合の人数の上限は外国人の受入人数の上限で解説しています。
人数を先に数えておけば、「来年もう1人」という採用の計画を、枠の範囲で先に立てられます。
賃金規程と昇給表には、どう書けばいいですか?
賃金規程には「月給制」「日本人と同等額以上」「天候や会社の都合で休ませた日を欠勤にしない」「1年経過後の昇給」の4点を書き、別表の昇給表で1年目から3年目までの金額と上がる条件を見える形にします。
転籍制限期間を2年とする場合の規定例です。自社の賃金体系に合わせた調整が必要です。
規定例 第○条(育成就労外国人の賃金)
1 育成就労外国人の賃金は月給制とし、同等の業務に従事する日本人従業員の賃金と同等額以上とする。
2 天候その他会社の都合により就労させなかった日は、欠勤として扱わない。本人の都合による欠勤(年次有給休暇を除く)は、第○条により賃金を差し引くことがある。
3 育成就労を始めてから1年を経過したときは、2年目の所定内賃金(毎月決まって支払う賃金のうち、時間外・休日・深夜の割増賃金を除いたもの)を、1年目の額から建設分野育成就労協議会が公表する昇給率以上に引き上げる。
4 前項のほか、2年目・3年目の賃金は別表の昇給表により前年より引き上げ、技能検定等に合格した者には別表の資格手当を支給する。
転籍制限期間を1年とする会社は3項を除きますが、4項(就労期間に応じた昇給)は残します。別表の昇給表は、たとえば次のように作ります。
| 時期 | 基本給(月額・仮の数字) | 前年からの上げ幅 | 上がる条件・手当(例) |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 220,000円 | ― | 同じ仕事をする日本人の新人と同額以上で決める |
| 2年目(開始から1年経過) | 231,000円 | +11,000円(5.0%) | 在籍する全員に適用。固定の手当も含めた所定内賃金で、協議会の昇給率を下回らないか毎年確かめる。技能検定基礎級に合格していれば資格手当5,000円 |
| 3年目(開始から2年経過) | 243,000円 | +12,000円(約5.2%) | 在籍する全員に適用。技能検定3級に合格したら資格手当を10,000円に増額 |
金額はすべて仮の数字で、相場を示すものではありません。1年目の額は同じ仕事をする日本人の賃金から、2年目の上げ幅は協議会の昇給率から決めます。作るときは、次の3点を押さえておきます。
- 資格手当は基本給の昇給と分けておく:2年目の昇給は在籍する全員が対象です。試験に落ちた人の昇給を止める書き方にせず、合格した人に手当を上乗せする形にします
- 本人が読める言葉で渡す:雇用契約の大事な点は、本人が十分に理解できる言葉(行動規範では母国語)で説明するよう求められています。昇給表も同じ言葉で渡してこそ効きます
- 就業規則との関係:賃金の決め方や昇給は、就業規則に必ず書く事項です(労働基準法89条)。常時10人以上の労働者を使う場合は、就業規則を作って労働基準監督署へ届け出ること、変えたときも届け出ることが義務になります。10人未満の会社でも、賃金規程があれば「同等額以上」を規程の中の位置づけで説明できます
規程と昇給表が1枚にまとまっていれば、受入れの面談で「3年目にはこうなる」と紙で見せられます。社長が毎年その場で昇給額を考え込む必要もなくなります。
育成就労に向けて、何から手を付ければいいですか?
まずは、同じ仕事をする日本人の職人の賃金を一覧にし、育成就労の人に払う月給と、2年目・3年目の昇給表を先に決めることです。順番にすると次のとおりです。
- 常勤職員を数え、受け入れられる人数の上限を出す
- 建設業許可・CCUSの事業者登録・JACへの所属を確かめる
- 同じ仕事をする日本人の賃金を並べ、育成就労の人の月給を決める
- 転籍制限を2年にするか1年にするかを決め、賃金規程と昇給表をつくる
- 協議会の昇給率が公表されたら、昇給表の2年目の数字を確かめ直す
冒頭の社長の手を止めたのは、「2年たったら移られるかもしれない」という不安でした。けれど、移れるようになる時期に、明細の数字が約束どおり上がり、次の試験と3年目の給料まで見通せているなら、本人にとって移る理由は多くありません。制度が変わっても、人が残るかどうかを決めるのは、給料の決め方と育て方です。
当事務所の代表は、監理団体を自ら立ち上げて運営し、現在も大阪・東京の監理団体や登録支援機関を支援してきた立場から、この「雇った後」の労務を専門にしています。当事務所が行うのは、受入れができるかどうかの診断と、雇った後の賃金・規程・労務の整備です。建設業の外国人雇用サポートでは、外国人受入れ診断を無料で行っています(料金ページ)。月給制と昇給表を入れた賃金規程を含め、就業規則の作成・改定は顧問の基本料金内で対応しています(建設業の就業規則作成)。建設業許可の取得など、必要な場合は建設業に詳しい行政書士をご紹介します。自社の場合に何人まで受け入れられるか、2年目の昇給をどう組むかは、Zoom30分の無料相談で一緒に整理できます。最新の制度や金額は、必ず公式サイトでご確認ください。
参考(一次情報)
- 分野別運用方針 別紙5 建設分野(出入国在留管理庁): https://www.moj.go.jp/isa/content/001454692.pdf
- 概要、関係資料【育成就労制度】(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00021.html
- 建設分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等(国土交通省告示第784号)(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/002011220.pdf
- 建設分野育成就労協議会(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00022.html
- 育成就労制度運用要領 第4章 育成就労計画の認定等(出入国在留管理庁・厚生労働省): https://www.moj.go.jp/isa/content/001467911.pdf
- 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則(令和9年4月1日施行分)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/507M60000110004/20270401_508M60000110003
よくあるご質問
「うちの場合、費用と体制はどうなる?」
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