標準労務費とは?2025年12月施行の改正建設業法で何が変わるのか
標準労務費とは、中央建設業審議会が作成・勧告する労務費の目安です。2025年12月に全面施行された改正建設業法で、著しく低い労務費による見積り・契約が規制されました。確保した労務費を賃金制度や就業規則にどう落とすかが、これからの実務の課題になります。
→ 自社の場合はどうなる? Zoom30分・無料相談で個別に整理できます標準労務費とは、中央建設業審議会が作成・勧告する「建設工事の労務費の目安」のことです。2025年12月に全面施行された改正建設業法により、著しく低い労務費による見積りや契約が規制されるようになりました。この記事では、制度の骨子と、確保した労務費を賃金制度・就業規則にどうつなげるかを整理します。

標準労務費とは何ですか?
標準労務費とは、中央建設業審議会が作成・勧告する、建設工事の労務費の目安です。中央建設業審議会は、建設業法にもとづいて国土交通省に置かれている会議体です。
この目安が設けられた背景には、技能者の賃金の相場が見えにくく、労務費が値切られやすいという問題がありました。そこで、「技能者の皆様の労務費が適正に確保され行き渡るよう」にすることを目的として、職種ごとの適正な労務費の目安を示す仕組みが作られました(2026年7月時点)。
実際に、2025年12月2日に開かれた中央建設業審議会で「労務費に関する基準」が作成され、その実施が勧告されています。
2025年12月施行の改正建設業法で、何が変わったのですか?
今回の改正(2024年成立の令和6年法律第49号)は、担い手の確保と処遇改善を目的としたものです。2025年12月に全面施行されました。労務費まわりのポイントは、次のとおりです。
- 中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告できるようになった
- 著しく低い労務費による見積りの依頼・提出が規制の対象になった
- 長時間労働の是正や週休2日の確保も、改正のねらいに含まれている
つまり、「安ければ安いほどよい」という見積りのやり方に、法律のうえで歯止めがかかった形です。
「著しく低い労務費」で契約すると、どうなりますか?
改正では、発注する側と受注する側の双方に目が向けられています。
- 著しく低い労務費で見積りを依頼した発注者:国土交通大臣による勧告・公表の対象になります
- 著しく低い労務費で見積りを提出した受注者:指導・監督の対象になります
労務費を過度に切り詰めた取引は、どちらの立場でもリスクになるということです。発注側も受注側も、標準労務費という「目安」を意識した見積り・契約が求められます。
下請・専門工事業者には、どんな影響がありますか?
方向性としては、現場で働く技能者の労務費が確保されやすくなる改正です。これは、賃金の原資が守られることを意味します。
ただし、確保された労務費が自動的に社員の賃金に反映されるわけではありません。ここで一段、実務上のハードルが出てきます。
- 発注側:標準労務費を踏まえて、無理のない見積り・発注ができているかを見直す
- 受注側:確保した労務費を、実際に技能者の賃金や手当として行き渡らせる仕組みを持つ
「労務費は確保できたが、社員の給与や手当にどう反映するかが決まっていない」という状態だと、改正のねらいが現場まで届きません。
とくに一次下請・二次下請と重層的に工事が流れる建設業では、上流で確保された労務費が、途中で薄まらずに末端の技能者まで届くかどうかが問われます。見積書の中で労務費がどう積まれているかを説明できるようにしておくことが、これからの取引では強みになります。
就業規則や賃金規程には、どう波及しますか?
見落とされがちですが、確保した労務費を賃金として行き渡らせるには、賃金制度・就業規則の整備が欠かせません。
- 基本給・手当の考え方を、賃金規程として明文化する
- 労務費の確保を、昇給や手当のルールとして就業規則に落とし込む
- 実態(現場ごとの労働時間や日給月給)と規程がずれていないかを点検する
労務費を「確保する」ことと、それを社員に「行き渡らせる」ことは別の作業です。制度改正を賃金や手当に落とし込む部分は、建設業の就業規則作成とあわせて整えると、現場と書面のずれを防げます。まずは自社の賃金規程が今の実態に合っているかを確認するところから始めるのがおすすめです。当事務所では、こうした賃金規程・就業規則の整備を顧問の基本料金内で行っています。確保した労務費を賃金や手当にどう反映するかは、Zoom30分の無料相談でご一緒に整理できます。
参考(一次情報)
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